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 来年7月に予定される横須賀市と北九州市を結ぶフェリー航路新設をめぐり、その発着地となる横須賀港・新港ふ頭で輸出自動車の荷役にあたる港湾運送会社が14日、同港を管理する横須賀市を相手取って行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟を横浜地裁に起こした。フェリー就航を前提とした市の港湾運営を「違法」と主張し、就航計画の見直しを求める構えだ。

 提訴したのは横須賀市の「相模運輸倉庫」。地元港湾関係16社でつくる横須賀港運協会の代表でもある。協会はこれまで、新港ふ頭での就航計画の撤回を要請してきたが市が応じず、同社が問題の解決を目指して法的措置に踏み切った。

 同社が違法と主張するのは、新港ふ頭(約4・2ヘクタール)のうち、自動車運搬船への船積みで使うエリアの一部が、「港湾施設用地」(約0・3ヘクタール)に用途変更されたことだ。市による変更は9月17日付。フェリーを運航する「東京九州フェリー」(北九州市)が、用途変更された土地に旅客用フェリーターミナルを建設する予定で、同24日に関連工事がスタートした。

 ふ頭には今、工事現場を囲うフェンスが立つ。自動車運搬船は工事開始後の9月30日と10月9日にも接岸したが、相模運輸倉庫は「工事で荷役に影響が出ている」と指摘する。同社は用途変更は無効として従来通りの使用を申請したが、市は9日付で不許可処分にしたため、処分の取り消しを求めて提訴した。

 市は「訴状が届いていないため、コメントはできない」としている。

 港湾業界がフェリー就航に反発する背景には、横須賀港の開発や利用を定めた「港湾計画」がある。港湾法で策定が規定されたこの計画を、市が最後に見直したのは、就航計画が持ち上がる前の2016年3月。見直しに至る協議では、今回の対立につながる二つの方向性が示されていた。

 その一つが自動車輸出拠点としての新港ふ頭の位置づけ。輸出自動車を「付加価値が高い横須賀港の主要貨物」とし、ふ頭の機能強化が今後の課題とされた。

 もう一つは、九州方面へのフェリーなどの定期航路の開設。誘致先は新港ふ頭から約8キロ南の「久里浜地区」が前提だった。だが、市とフェリー会社が18年12月に北九州市への就航を発表した当初から、両者は横須賀港での発着地を「新港ふ頭」としていた。

 こうした点を踏まえ、相模運輸倉庫は市の港湾運営について「違法」と主張している。訴状では、フェリー就航が自動車輸出拠点としての新港ふ頭の性質を大きく変えると指摘。フェリーターミナルの建設用地としてふ頭の一部を用途変更するなど、港湾計画を変更しないまま就航計画を進める市の行為は、違法な裁量権の行使だと訴えている。

 同社の鈴木稔社長は「市の行為を見過ごせば新港ふ頭での荷役は立ち行かなくなる。事業存続をかけて裁判に臨む」と話した。(佐々木康之)

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