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 東京五輪・パラリンピックの開催が来夏に延期される中、東京都は、大会用に整備した競技施設の都民への開放を進めている。夢舞台にじかに触れてもらう――。そんな機会を提供することで、新型コロナウイルス感染への不安から低下しがちな大会への関心を高めてもらうのが狙いだ。(木村浩之)

 五輪のカヌー競技(スラローム)が実施される江戸川区のカヌー・スラロームセンター。この会場で今月3日、都民向けに施設が無料開放された。

 大会に備えた観客席などの工事が再開する前に、本番の「聖地」に立ってもらう企画だ。水上から施設を眺める遊覧ラフティングや施設見学、カヤック体験会を約100人が楽しんだ。

 遊覧ラフティングに参加した練馬区の小学5年、中谷乙悠(おとはる)さん(10)は、祖父杉本和也さん(65)=板橋区=の影響で小3からカヤックを月数回、埼玉・長瀞町で楽しむ。「本番の会場に立てるなんてドキドキした。コロナに負けず絶対に五輪をやって欲しいという気持ちが強くなった」

 一緒に訪れた杉本さんは、25年以上のカヤック経験がある。「五輪への期待が大きくなったのは当然」とした上で、新たな意識も芽生えた。「会場に立って、素晴らしい施設だと実感した。大会後、都民はたくさん使わないと。カヌーの認知度が上がり、すそ野が広がれば、日本の実力も上がる」

 都は、東京大会に向けて計1375億円を費やし、カヌー・スラロームセンターなど6カ所の競技施設を新設した=表。ただ、施設が完成しても、大会が終わるまで都民は原則利用できないはずだった。完成後は大会本番に向け、組織委員会がメディアセンター設置や観客席増席などの工事に入る予定だったからだ。

 しかし、3月に大会の延期が決まり、組織委の工事が一時中断された。都はそこに着目。中断期間に競技団体や都民に施設を使ってもらい、大会への関心を高めてほしいと今春から検討を重ねてきた。各施設の認知度を上げ、大会終了後に積極活用してもらう狙いもあるという。

 都は今月以降、カヌー・スラロームセンター、海の森水上競技場、大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場の3施設で、都民向けの競技体験会や施設見学会などを開催。東京アクアティクスセンターでも今月24日の完成披露式典後、プールで泳げる体験会などを開く。有明アリーナでも、都民参加型のスポーツ体験イベントなどを予定する。

 都の担当者は「本番で使う会場を体感してもらい、東京大会の関心アップを図りたい。認知度も上げ、大会後に使ってもらい、都民の健康増進、スポーツ振興につなげたい」と話す。

都が新設した東京五輪・パラリンピック施設

▽カヌー・スラロームセンター(江戸川区)=カヌー(スラローム)

▽海の森水上競技場(江東区)=カヌー(スプリント)など

▽夢の島公園アーチェリー場(同)=アーチェリー

▽有明アリーナ(同)=バレーボール、車いすバスケットボール

▽東京アクアティクスセンター(同)=競泳、飛び込みなど

▽大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場(品川区、大田区)=ホッケー

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