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 日本学術会議が推薦した会員候補のうち6人が任命されなかった問題で、子どもの本の創作や出版、研究に関わる団体が15日、決定を取り消し、経緯を明らかにすることを求める抗議声明を発表した。メンバーの一人で、児童文学評論家の野上暁さん(77)は「子どもたちの未来のため、いま声を上げなければという切実な思いがあった」と話す。

 声明を出したのは、絵本学会や日本児童文学者協会など、子どもの本に携わる7団体がつくる「フォーラム・子どもたちの未来のために」実行委員会。特定秘密保護法への反対運動をきっかけに結成され、表現の自由と平和で民主的な社会を守ることを掲げ、勉強会などの活動を続けてきた。

 声明では、「なんら具体的な理由を明示しないまま、『総合的、俯瞰(ふかん)的』という抽象的な判断をもって任命拒否を強行することは、きわめて高い独立性を持つべき組織を、時の政権が恣意(しい)的な判断でコントロールできてしまうことを意味する」と指摘し、任命問題を置き去りにして学術会議の課題の議論を始めた政府・与党の姿勢を、「組織のもつ問題点と委員任命の手続きが正当か否かはまったく別の問題」「悪質な議論のすり替えというべきもの」と断じた。そのうえで「今回の問題は決して学者の世界だけにとどまる問題ではなく、学問の自由、ひいては表現の自由、言論の自由への重大な脅威と考えます」と、強く抗議している。

 野上さんは「政府がアカデミズムまで管理しようとする動きは危険で、戦争に向かっていった歴史をくり返すことになりかねない。このままでは、子どもたちの未来が守られない」と話している。(松本紗知)