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 徳島県は16日から、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した施設名の公表基準などを定めた感染拡大防止条例を施行する。事業者や県民に感染予防に取り組むよう求める一方、感染症をめぐる差別や誹謗(ひぼう)中傷をしてはならないと呼びかけている。

 施設名の公表は、店舗や事業所などで5人以上の感染者が出たほか、5人以上に達するおそれがある場合が対象になる。施設側が感染のおそれのある従業員や利用者ら全員と直ちに連絡がとれないなど感染拡大防止に必要な場合、施設名や施設での対策の実施状況などを公表するとしている。

 事業者には、各業界団体のガイドラインを順守していることを示すステッカーの店先への掲示や、県の接触通知システム「とくしまコロナお知らせシステム」への登録を求めている。

 ステッカーの掲示や通知システムは、県が今夏から導入している。

 ステッカーは、各業界団体が加盟店舗や事業所などの感染予防策を確認して配布する仕組みで、13日現在、978施設が掲示している。一方、通知システムは、感染者が確認された店や事業所、イベント会場などを同じ日の利用者にメールで知らせて注意喚起する制度だが、登録は13日現在、635件にとどまる。県は条例への明記で普及を目指している。

 条例はまた、感染や感染の恐れがあること、予防策を適切に講じていないおそれがあることを理由に、不当な差別的扱いや誹謗中傷をしてはならないと呼びかけている。差別防止のため、県は感染症の正しい知識の普及や啓発に取り組むとしている。

 条例は、今月7日の県議会で可決された。

 県によると、条例の骨子案に対して25件のパブリックコメントが寄せられた。施設名の公表などを巡り、「クラスターでなくても、感染が広がる恐れがある場合は公表を」との要望がある一方、「差別を助長させる」「経済活動を萎縮させるのでは」といった反対意見もあったという。

 県の担当者は「県民や事業者とともに、感染拡大防止と社会経済活動の両立に取り組むのが条例の目的だ。県民の意見も踏まえて適切に運用していく」としている。

 県内で確認された新型コロナの感染者数は14日現在149人で、うち9人が死亡している。8月にはデイサービスセンターやカラオケ喫茶などでクラスターが続発した。インフルエンザとの同時流行などが懸念される冬に向けて、県は警戒を強めている。

 県は、条例の要点を解説したチラシ約25万部を作成し、公式サイト(https://www.pref.tokushima.lg.jp/別ウインドウで開きます)にも特設サイトを設けるなど周知に努めている。平日の午前10時~午後4時には、電話相談(088・621・2799)にも応じる。(吉田博行)

【県の新型コロナウイルス感染拡大防止条例の主な内容】

◇事業者の役割

・各業界ごとに定められた感染拡大予防ガイドラインを順守

・ガイドライン実践店ステッカーかスマートライフ宣言を掲示

・「とくしまコロナお知らせシステム」に登録

◇県民の役割

・3密の回避、マスク着用、手指消毒などの基本的対策

・国の接触確認アプリ「COCOA」や「とくしまコロナお知らせシステム」の活用

◇県の責務

・感染拡大防止と社会経済活動の引き上げの両立に取り組む

・市町村と緊密な連携を図る

◇差別的取り扱いの禁止

・感染していることや、その恐れがあることなどを理由に、不当な差別的取り扱いや誹謗中傷などをしない