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 第48回泉鏡花文学賞(金沢市主催)は、高樹のぶ子さん(74)の小説「小説伊勢物語 業平」(日本経済新聞出版)に決まった。平安時代の歌人、在原業平の生涯を歌物語「伊勢物語」を通じて描いた作品。高樹さんは報道陣の電話取材に「新しい冒険をした作品が評価されて大変うれしい」と語り、受賞を喜んだ。

 ですます調と体言止めが印象的な作品で和歌も登場する。高樹さんは和歌のリズムを壊さず、その意味を伝えるよう書くことに苦心したといい、「読みながら音楽を感じてほしい。それは歌を理解することにもなりますから」と語った。選考委員の一人、綿矢りささんは「和歌を生かし、のびやかな語り口で書いた美しい文体。仕上げるには相当な筆力が必要」と評した。

 また高樹さんは今回の受賞を「1100年前の業平さん」に報告したと説明。「いま世界中に旅には出掛けられないけれど、昔の日本の雅(みやび)な世界には旅できるから、ぜひその世界で遊んでもらいたい」と述べた。

 同文学賞は金沢生まれの泉鏡花の功績をたたえ、1973年に全国初の地方自治体主催の文学賞として制定された。今回は42作品の推薦があった。

 授賞式は11月21日に金沢市文化ホール(同市高岡町)であり、副賞の100万円などが贈られる。(三井新)

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