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 新型コロナウイルスの治療薬候補「アビガン」について、富士フイルム富山化学は16日、国に製造販売の承認を申請したと発表した。今後、厚生労働省が審査する。11月にも承認される見込みだ。承認されれば新型コロナ治療薬として三つ目、日本で開発された薬としては初めてとなる。

 アビガンをめぐっては、5月4日の会見で当時の安倍晋三首相が「今月中の承認をめざしたい」と発言した。発言から5カ月後に申請されたことになる。田村憲久厚労相は10月16日の閣議後会見で、「緊急事態なのでなるべく早くということは認識しているが、有効性、安全性が確認できないと承認できないので、しっかりと精査させていただく」と話した。

 アビガンは新型インフルエンザ治療薬として承認を受けており、一部の病院で患者の希望と医師らの判断で使える「観察研究」という枠組みで新型コロナ患者にも使われている。正式に新型コロナにも適応拡大されれば、いまより多くの患者に使える可能性がある。ただ、動物実験で胎児に奇形が出るおそれがあることがわかっており、妊娠中やその可能性のある女性、相手の男性には使えない。

 富山化学は9月下旬、臨床試験(治験)の結果、「早期に症状を改善することを統計的有意差をもって確認できた」と発表していた。アビガンを飲んだ患者では、解熱や肺機能の改善が進み、かつPCR検査の結果が陰性になるまでにかかる日数の中央値が11・9日で、偽薬を飲んだ患者の14・7日より2・8日短くなったという。これまで報告されている尿酸値の上昇や肝機能の低下などの副作用以外に「安全性の新たな懸念は認められない」としていた。