拡大する写真・図版住民投票の告示日、街頭に立つ吉村洋文・大阪府知事=12日、大阪市内、白井伸洋撮影

[PR]

 大阪市を廃止して四つの特別区に再編する大阪都構想の賛否を問う住民投票(11月1日投開票)で、賛成派の「顔」が吉村洋文大阪府知事(45)=大阪維新の会代表代行=だ。新型コロナウイルス対応で知名度を上げ、大阪市民の支持も高い。ただ、都構想を巡っては、支持者たちの思いも様々だ。

 告示日の12日に賛成派が第一声を上げた大阪の繁華街、南海難波駅前。ジャンパー姿の吉村知事が「YES!都構想」と記した宣伝カーの上でマイクを握ると、道行く人が一斉にスマートフォンを向けた。

 「昔の大阪府と市の二重行政の時代に戻したくない」「新しい大阪都に踏み出すべきだ」。

 そう訴える吉村知事の姿に見入っていた派遣社員の男性(25)=大阪市天王寺区=は「吉村さんが出るテレビは可能な限り見ている。今日の話も100%納得」と語った。

 同市阿倍野区の主婦服部令子さん(44)も吉村知事を支持する一人だ。「(大阪市長時代から)幼児教育の無償化など、お母さんがやってほしいことをやってくれた」。15人ほどのママ友に聞いたところ、ほぼ全員が支持していたという。

 「市と府の摩擦で無駄が多いと感じる。大阪市のままで行くことが不安」という服部さんは前回の2015年の住民投票に続き、今回も都構想に賛成しようと思っている。ただ、「『今はまだわからない』『迷っている』と話すママ友が一番多い」とも語る。

 朝日新聞社と朝日放送テレビが9月に大阪市民を対象に行った世論調査によると、都構想の賛否は賛成42%、反対37%。吉村知事の支持率は75%で、支持する人の54%が都構想に賛成と回答した。一方、反対は27%、「その他・答えない」は19%だった。

拡大する写真・図版吉村知事への支持と、都構想への賛否

 「吉村さんは好きだけど……」。保育士の女性(36)は休憩時間にスマートフォンで住民投票告示のニュースを読み、つぶやいた。大阪湾に面する大阪市此花区で、夫と小学生の2人の子どもと暮らす。

 大阪市を四つの特別区に分割し、福祉や教育など身近な住民サービスは特別区が担い、インフラ整備や成長戦略などの権限は大阪府に集める――。

 都構想を推進する維新は臨海部の開発も加速すると訴えるが、「街がにぎわえばいいけど、大阪市がなくなったらやばいんちゃうという不安が消えない」。

 1カ月前まで迷いなく賛成だった。理由はLINEでつながる5人のママ友との間で「ふーみん」と呼ぶ吉村知事の存在だ。テレビに出ずっぱりでコロナ対策を発表する吉村知事に好感を持つようになった。

 「不安な時期に安心を得られたのは、吉村知事のおかげ」。その知事がやりたいことならば、と賛成に投じるつもりだった。

 立ち止まったのは9月中旬。職場の上司に誘われ、都構想に反対する大阪市議の勉強会に参加してからだ。「特別区の財源が足りなくなるかも知れない」。不安要素を知らされ、その後、吉村知事が出席した市主催の住民説明会にも参加した。「知事は(都構想の)いいことしか言わない。(賛否の)どっちについて行っていいのか、混乱している状態です」

 前回は棄権した。結論はまだ出していないが「今回は子どもの将来を考えて必ず投票する」と決めている。

 歯科医院スタッフの浦田梓さん(43)=同市阿倍野区=もコロナ禍で国に先んじて対応を打ち出す吉村知事に喝采を送った。「ばりばり働いていて全国的に影響力がある」。ただ、都構想の賛否は別だと考える。小中学生の子どもは発達障害のためコミュニケーションが苦手だ。「他の自治体に比べて充実している区独自の支援が維持されるか、懸念が消えない」(武田肇)

どちらが正しいか 調べれば調べるほど――

 大阪維新の会が大阪府知事と大阪市長のポストを占めるようになって約9年。物心ついた時から「知事も市長も維新」だった世代が、大阪都構想の賛否を問う2回目の住民投票で選挙権を持つ。

拡大する写真・図版大阪都構想の仕組みや今回の住民投票について紹介する動画を撮影する池辺亮輔さん(左)らMielkaのメンバー=2020年10月6日午前11時30分、京都市内、川田惇史撮影

 「本日は大阪都構想にある、みなさんの勘違いを解き明かしたいと思います」

 10月6日、京都市上京区のビルの一室にあるNPO法人「Mielka(ミエルカ)」の事務所。

そもそも、前回の住民投票の時も維新は一定の支持を得ていたはずなのに、なぜ反対が上回ったのか。記事後半には専門家の読み解きも。

 学生代表の同志社大2年、池辺…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。

2種類有料会員記事会員記事の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら