拡大する写真・図版「料理メモ」の最近のメニューから。作り置きできる料理やおやつなど、どれも作りやすいレシピで紹介している

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 天気予報や市況のように、朝日新聞には小さな料理コラム「料理メモ」が毎日載っています。経験豊富な料理研究家が、身近な材料で誰もが作りやすく工夫してきたレシピ。朝日新聞デジタルにも毎日収録していますが、その収録レシピ数が1万件を超えました。デジタルならではの機能が「検索」で、「今夜は肉豆腐が食べたい」「冷蔵庫のホウレンソウがしなびてきた」「電子レンジで作れるものは」といった、その日の事情にこたえます。現在の筆者である4人の料理研究家が、食事づくりが楽に、楽しくなる活用法を語り合いました。(栗田優美、編集委員・長沢美津子)

拡大する写真・図版オンラインで話し合う料理メモの筆者の皆さん。渡辺あきこさん(右上)、牧野直子さん(左上)、検見﨑聡美さん(右下)、石黒弥生さん(左下)

一緒に作る喜び、再確認した今年

 誰もが予期せぬことがふりかかった今年、渡辺あきこさん(67)は、自宅で開いてきた料理教室が休止したままだ。「家族以外とは一緒に作って食べることができない。人生で初めての経験で、それがいかに楽しいことだったかに気づきました」と話す。

拡大する写真・図版渡辺あきこ 料理研究家。伝統的な和食を軸に、世界各地の郷土料理の知恵を盛り込んだレシピを得意とする。テレビ出演のほか、海外での和食講習会の経験も豊富。著書に「明日使える! お弁当大百科」「こどもが喜ぶスープジャーのお弁当」など。

 「外出が制限される時に、せめて旅の気分を味わってもらおうと料理メモに郷土料理や外国の家庭料理を盛り込んでいます」。家庭料理のプロであり、生活者でもある実感が時々のレシピに反映される。

忙しい朝はレンジで野菜

 家での食事づくりに、調理時間が短く、フライパンひとつで作るといった時短・簡便志向は定着した。とはいえ、おいしさや栄養バランスも重要だ。料理メモでは、肉や魚の「レンジ蒸し」など電子レンジでうまくできるメニューはもちろん、野菜の下ごしらえにレンジを活用する。「カボチャ レンジ」で検索すると66件、「インゲン レンジ」で19件ヒットする。

拡大する写真・図版牧野直子さん 料理研究家・管理栄養士。テレビや雑誌のほか、料理教室や病院などでも活動。生活習慣病や肥満の予防・改善のための食生活指導を得意とする。著書に「塩分早わかり」「子どもがダイエットに一生悩まなくなる食事法」ほか。

 「サヤインゲンの巣ごもり目玉焼き」は、牧野直子さん(52)が朝食によく作るメニューで、ベーコンエッグの上にレンジ加熱したインゲンを並べてチーズをふってある。目玉焼きを作ることができる人なら失敗はない。「大人も子どもも、これまで料理をしなかった人がキッチンに立っている。応用できるように、ブロッコリーやアスパラでもいいといったひと言も添えるようにしています」

季節の素材は「ニュース」

 天候不順で高騰した野菜は控えたり、逆に豊漁で手頃な魚は意識的に使ったり。メニューには掲載時の「いま」や「季節」が反映されている。

拡大する写真・図版検見﨑聡美さん 料理研究家・管理栄養士。和食をベースにアイデア豊かなメニューを得意とし、生活習慣病対策の活動も豊富。著書・料理監修書に「作りおきできる減塩おかず」「美味(おい)しい、おかゆ」など。

 同じ秋の味覚でも、年々希少になっていく「マツタケ」のレシピは4件のみで15年前から登場していない。一方で「黄菊」で検索すると43件。検見﨑聡美さん(54)も今年「黄菊の白あえ」を出した。「食用菊は珍しいようですが、その時期スーパーに行けば手に入り値段も手頃。日本の四季が感じられます。自分も食べたいなと思うものは、誰かが食べたいと思ってくれると考えているんです」。切り干し大根などの乾物もよく登場するが、使ってみると実は手軽だというメッセージを込めている。

日持ちするもの、意識して

 塩分控えめの漬物やつくだ煮といった小さなおかずも豊富だ。

拡大する写真・図版石黒弥生さん 料理研究家・栄養士。現代の暮らしに合わせつつ、和食の基本を大事にしたメニューを提案する。東京・銀座で長年料理教室を続けた後、現在は「一人で作れるようになる」ことを主眼に、オンラインの料理教室を主宰。

 「高齢の方や子育て中の方から、食事の支度がおっくうだと言われることがあります。そんな人にこそ勧めたいのが作り置きです」と石黒弥生さん(49)。一人暮らしでも塊の肉をゆでて使い回したり、保存のきく何にかけてもおいしいタレを作っておいたり。一度で何回分かの食事の支度のめどが立つ。「コンビニやスーパーでは買えない味でもあります」

 おすすめの「万能梅ニラソース」は、ニラ2分の1束を使う。肉野菜炒めにニラを使った日に、残りをタレにしておく。翌日も続く食事づくりが楽になる。

料理メモを活用していただいている読者の声をご紹介します。検索ページや紙面の活用法、記事へのリクエストや感想など、メール(seikatsu@asahi.com)でお寄せください。

献立を思いつかないときに

 東京都中野区の主婦(48)は、日々の食事に「料理メモ」を活用している。紙面をスクラップしたり、デジタル版で料理名や食材から検索したり。「人によってレシピの書き方がまちまちなサイトもある中、手順や調理方法が整理されており、料理が得意でない私にも分かりやすい」

 夫と大学生の娘の3人家族。日々の献立が似通ってしまうのが悩みだ。「レパートリーが少なく、週1回の宅配で同じような食材を注文してしまうせいもあると思う。献立を全く思いつかないことも」。そんな時、料理メモが助けになるという。

 目にとまるのは、旬の食材を使った料理や「材料の種類が少なく、簡単でおいしそうなもの」。お気に入りの一品は「ピーマンの肉づめ焼き」(今年7月6日掲載)。「以前は娘のお弁当によく作りましたが、このレシピで夕食の主菜にしたら、家族に好評でした」

拡大する写真・図版ピーマンの肉づめ焼き=渡辺和俊撮影

 豚ひき肉、タマネギ、ピーマン、オクラを使う「野菜たっぷりドライカレー」(昨年9月27日掲載)も、この夏何度も食卓に上ったという。

同じ日付の過去レシピ一覧も

 2015年にできた朝日新聞デジタルの「料理メモ」ページでは、1984年からこれまでに紙面に掲載した1万件以上のレシピを収録(91年10月以前の紙面での欄名は「おそうざいのヒント」)。いずれも一線で活躍する料理研究家が、季節感や作りやすさを考えたものです。

 検索機能もあり、料理名や食材(「ジャガイモ サラダ」「小松菜 卵」など)のほか、調理時間、調理方法、季節、ジャンル、1人前あたりのカロリー、塩分(07年以降)でも探せます。

拡大する写真・図版各メニューのレシピを開くと、掲載日と同じ日付で過去に載ったメニューも見られる。画面は各年の10月19日の料理メモ。この時期らしいメニューが並ぶ

 さらに、レシピの下には、過去の同じ日付の紙面に載った料理の一覧も。例えば10月19日なら「栗のリゾット」(18年)、「レンコン団子 菊花あん」(14年)、「サトイモの煮ころがし」(01年)……と秋らしいメニューが並びます。献立を思いつかない時のヒントになるかもしれません。