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 戦後の生活用品を中心とした収集で知られる「昭和日常博物館」(愛知県北名古屋市)が、第1回の「日本博物館協会賞」を受賞することが決まった。思い出や経験を語ることで高齢者が元気になる心理療法「回想法」を収蔵品を使って展開している点や異世代間交流の拠点になっていることが評価された。11月25日に横浜市で授賞式がある。

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 日本博物館協会(日博協、東京)は公益財団法人で1928年創設。現在は東京国立博物館の銭谷真美館長が会長を務める。協会賞は今年新設され、「博物館の振興に大きく貢献し、他の博物館の範となる顕著な成果をあげている」ことが条件。選考委員会(7人)が検討し、「ちひろ美術館・東京、安曇野ちひろ美術館(長野)」との同時受賞になる。

 理由について日博協は「昭和期の生活資料を活用し、地域の高齢者を対象とした回想法を用いた事業に早くから取り組み、日本でのモデルケースとして他の同種の施設へ広がりを促す先駆的な役割を果たした」などと説明している。

 館の正式名は北名古屋市歴史民俗資料館。1990年に合併前の師勝町歴史民俗資料館として開館した。当初は地元の民俗史料などを展示していたが、1997年からは昭和の生活用品の展示に特化した。

 全国から寄贈が相次ぎ、収蔵品は12万点以上。戦後、「三種の神器」ともてはやされた「テレビ、冷蔵庫、洗濯機」などの家電類、ビー玉やメンコなどの玩具、車、学用品、旅先での土産物など懐かしいものがそろう。年3回のペースで企画展も開いてきた。

 設置者の北名古屋市は2002年から、回想法を重要施策に位置づけている。そのきっかけが同館の収蔵品だった。拠点施設の一つとして「お出かけ回想法」と題して高齢者らを受け入れてきたほか、厳選した収蔵品を詰めた「回想法キット」を介護施設などに貸し出している。

 市橋芳則館長は「回想法を採り入れることで福祉や医療の分野とも連携を続けてきた。収蔵品が示す過去の生活様式から、コロナ禍による新しい生活様式を理解したり学んだりできると思う。今後は現代社会の課題を解決する役割も担っていきたい」と話している。(高原敦)

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 〈回想法〉 昔の生活用品や写真などを見たり触れたりしながら、思い出や体験を語り合う心理療法の一つ。米国の精神科医ロバート・バトラーが1960年代に提唱。認知症進行やうつなどの予防といった効果が期待され、各地の高齢者施設などで取り組まれている。

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