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 群馬県内で家畜や果物が大量に盗まれる被害が止まらない。約680頭が盗まれた豚の被害は落ち着きつつあるが、新たに前橋市で鶏110羽が姿を消し、高崎市では梨約3千個が一晩で盗まれた。パトロールを強化する生産者らは気が休まらない日々が続く。

 「里見梨」で知られる高崎市の里見地区。ネットに囲まれた畑の梨が何者かにほぼ全てもぎとられているのが9月27日朝、見つかった。約3千個とみられ、入り口付近に約100個が捨てられていた。

 「あきれた」と生産者はため息をつく。JAはぐくみ西部営農センターによると、数人がかりでないと一晩では盗めない量。収穫にはまだ早い梨も含まれていた。同時期に近くの農家でも約100個が盗まれ、防犯カメラに車と数人の人影が映っていたという。

 里見地区では、豚の盗難が報道され始めた8月下旬から盗難被害が出始めた。梨の木4本から500~600個盗まれ、一度に900個が盗まれたことも。天候不順で数量が少ないだけに、生産者にはショックが広がり、県警と連携してパトロールを続けていた。梨の収穫時期は終わりつつあるが、JAの関係者はこう話す。「次は新米や農機具が盗まれないか心配だ」

 県警によると、梨の被害は9月末までで高崎や前橋、藤岡の3市で約5370個(推計被害額計94万4千円)にのぼる。

 県内ではこれまでに、榛東村や高崎市で高級品種のシャインマスカットなどのブドウも被害に。各産地で警戒を強めている。

 豚の盗難被害も相次いだ。飼養する豚の数が約63万頭と全国4位の群馬では前橋、伊勢崎、太田、館林の4市などで7月上旬から子豚を中心に約680頭(2400万円)が盗まれた。

 前橋市内の養豚産地では県警と市、JAが産地の見回りを強化し、車で巡回。市は防犯カメラの設置に上限10万円を補助すると決めた。多くの生産者が防犯カメラや夜間点灯のライトを設置したり、豚熱(CSF、豚コレラ)などを防ぐためのフェンスの鍵をかけたりするようになった。

 毎晩パトロールに出る生産者は「家畜の次に果物が盗まれ、群馬の次に周辺県でも被害が確認された。ほとぼりが冷めたら、また豚を盗みに来るのではと思うと怖い」。豚の盗難被害はみられなくなったが、前橋市では新たに鶏110羽が盗まれたことが分かった。

 高崎市の養豚場で9月に豚熱の感染が確認され、「一難去らないうちにまた一難」と生産者。県警も生産者と無関係な不特定多数の出入りがあれば豚熱の感染拡大にもつながりかねないとして警戒を強める。幹部は「安心を届けるためにも何とかしたい」と話す。(張春穎)

群馬県内の家畜・果物の主な被害

●豚676頭(推計被害額2400万円)前橋市567頭、伊勢崎市14頭、太田市50頭、館林市44頭、邑楽郡1頭

●牛1頭(25万円)

館林市1頭

●鶏144羽(11万9千円)

前橋市110羽、伊勢崎市28羽、吾妻郡6羽

●梨5370個(94万4千円)

高崎市5160個、前橋市160個、藤岡市50個

●ブドウ72房(6万9千円)

伊勢崎市20房、太田市2房、甘楽郡50房

※9月末時点。群馬県警まとめ。数字はいずれも概数。

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