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医の手帳・骨肉腫

 骨にじかに発生する悪性腫瘍(しゅよう)・がんのうち、最も頻度が高いのが骨肉腫です。とはいえ、発生頻度は人口100万人当たり年に2~3人、全てのがんのうちの0・2%程度と少なく、希少がんの一つとされています。高齢者の内臓に発生する一般的ながんとは異なり、骨の成長時期である15歳前後のひざや股関節、肩などの近くに生じることが多いのが特徴です。

 始めの症状は運動時の痛みが多いのですが、中高生に多いため運動のし過ぎや成長痛と考えられてしばらく放置されてしまうこともあります。よって、けがをしていないのに骨に痛みや腫れが生じた場合には注意が必要です。

 診断はX線やCT、MRIなどの画像検査や血液検査などで行います。最終的に診断を確定するには、病変部から組織の一部を採取し、顕微鏡で観察する病理検査が必要です。発生頻度が少ないため、専門的な治療を行っている医師や病院も限られています。

 治療法は診断確定時の進行具合によって変わりますが、多くの場合は抗がん剤と手術を組み合わせて行います。まず点滴による全身的な抗がん剤治療を行い、病変の縮小や目に見えない小さな病変の駆逐を目指します。いくつかの薬を組み合わせて行い、治療期間は数カ月に及ぶこともあります。その後、手術が可能であれば病変部を切除します。腫瘍を取り残すことがないようにしっかりと切除することが大事で、切除した後には可能な限り手足を残せるように、切除した部分を再建する手術も行います。金属製の特殊な人工関節を用いて再建する方法や、切除した自分の骨を放射線や液体窒素で処理して骨肉腫細胞を死滅させた後に、元の位置に戻して再建する方法などがあり、それぞれの患者さんにあった手術法が選択されます。

 手術の後には、再び抗がん剤治療を行うことで根治を目指しますが、治療開始から終了までに1年近くを要することもあります。病状によっては切断の手術が免れない場合もありますが、近年は義足や義手の改良が進み、手術後の日常生活機能も改善しています。また、特殊な放射線治療の重粒子線や陽子線治療も行われるようになっており、手術が困難な患者さんに対する新たな治療法として注目されています。

 1970年代までは骨肉腫の5年生存率は10%前後でしたが、様々な治療法の発達で、現在では70%程度まで改善しています。しかし30年以上、骨肉腫の新しい治療薬は開発されておらず、肺などの臓器に転移した場合には、現在でも治療に難渋します。希少がんですが、子どもに多く発生するがんでもあり、更なる治療法の開発が期待されている病気でもあります。(新潟大学大学院医歯学総合研究科 川島寛之教授)

 骨のがん がんが他の臓器から骨に転移する「転移性骨腫瘍(しゅよう)」と、骨自体から発生する「原発性骨悪性腫瘍」がある。骨肉腫は、原発性骨悪性腫瘍の代表的なもので、他に主に40代以上にみられる軟骨肉腫、若い人に多いユーイング肉腫などがある。