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 チェコやオーストリアなどの東欧諸国で新型コロナウイルスの感染が広がっている。春にはイタリアやフランスなどの西欧と比べて感染拡大を抑えていたが、今回は増加が止まらず、医療態勢への不安が増している。

 チェコ政府は17日にも、首都プラハ郊外の展示会場に500床を備える「野戦病院」の建設を始める。学生や海外で働く医師に国内の病院で働くよう呼びかける動きもある。バビシュ首相は15日、地元メディアに「我々には時間がない」と危機感を語った。

 チェコは1日あたりの感染者が春は最大約400人にとどまり、その後も拡大を抑えていた。ところが、9月末に約6万8千人だった累計の感染者数が今月16日には約15万人へと倍増。欧州疾病予防管理センターによると、直近の14日間の人口10万人あたりの新規感染者数は700人を超え、ベルギーやフランスなどを上回り、欧州連合(EU)諸国で最も多い。

 10月になって政府はレストランの閉店時間を繰り上げるなど対策を開始。14日にはレストランの閉鎖や公共の場での飲酒の禁止などと強化したが、まだ効果が出ていない。

 オーストリアは3月末に1日あたりの感染者が1千人を超えたが、その後は抑制できていた。しかし、9月から増え始め、15日の新規感染者は1600人を超えた。

 西部ザルツブルク州では、直近7日間の10万人あたりの新規感染者数が280人を超える地域にあるクフル村への出入りが、17日から原則禁止された。住民の外出は食料品の買い物などに限られる。

 どの国も経済活動への影響を懸念し、ロックダウン(都市封鎖)など厳しい措置を再び導入することには消極的だ。さらに、総選挙を控えるルーマニアや、反政府デモの拡大を恐れるブルガリアなど、政治的な影響を恐れ、感染対策の強化に踏み込まない国もあるとされる。

 世界保健機関(WHO)欧州地域事務局は「比較は難しいが、春には東欧諸国は早めに対策を実行し、西欧と比べて感染増加を抑制することができた。ただ現在はほとんど欧州の全ての国でコロナ感染が再燃している」と話す。(ウィーン=松井健)