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 子どもの好奇心や問題意識に、様々な分野の専門家が答える「子ども大学だざいふ・ふくおか」のプレ開校が17日、福岡県太宰府市の福岡女子短期大学であった。小学生の親子約90人が参加。原爆に関する紙芝居を見たり、化学実験をしたりと様々な分野を学んだ。

 子ども大学は、2002年からドイツの大学で始まり、日本でも広がっている。持続可能な開発目標(SDGs)を基軸としたカリキュラムで、様々な分野の専門家から学校では学ばないことを教えてもらえる。また、実際の大学を使うことで大学の雰囲気も味わうことができる。福岡での子ども大学は、来春に開校する予定だが、今回はプレ開校として3人の講師が講義した。

 米国出身で、詩人のアーサー・ビナードさんは広島を初めて訪れた際、原爆で生き残った人が原爆を「ピカー」や「ピカドン」と話すのを聴いた時のことを語った。「ピカー」という表現は原爆の下にいた人が作った言葉であり、遠い話ではなく自分に近い話に感じたという。そこで、被爆の惨状を描いた絵画「原爆の図」を元にして紙芝居「ちっちゃい こえ」を脚本。今回の講義で朗読した。

 広島の女性から聞いた話も紹介した。原爆が投下された後、血便が出るなど体調を崩した人たちが相次いだため、赤痢の流行だと医師が判断し、隔離が進んだという。後に放射能の影響だと判明したが、「当時はみな、うつると間違えて差別につながった」と指摘。新型コロナウイルス感染症にも触れ、「本当にうつるのか、うつらないのかよく考えて。考えるのは自由ですから」と語りかけた。

 長崎大学熱帯医学研究所の山本太郎教授は「感染症との共生」というテーマで医学の歴史を振り返った。顕微鏡で病原菌が発見され、抗生物質でやっつけることで死者を減らしたが、一方で体にいるたくさんの微生物や細菌まで殺し、薬剤耐性菌が広がったという。

 新型コロナウイルス感染症が拡大した際、「ウイルスとの戦い」という言葉が使われたことを振り返り、「守るべき相手は感染して重症化した人の命だが、倒すべき相手はいなかった」と話した。

 太宰府市の小学5年、直野然さん(11)は、山本教授が体内には100兆個の微生物があると話したことに触れ、「体から100兆個をどうやって採取するのか」と質問した。「大便や皮膚などから採取する」と返答してもらったという。「学校で教えてもらわないことを知り、面白かった」と話した。(伊藤繭莉)

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