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 今年もノーベル賞ウィークが終わりました。残念ながら、今年は日本人のノーベル賞受賞者は出ませんでしたが、パロディーともいわれる「イグ・ノーベル賞」では、14年連続で日本人が受賞しました。一風変わった受賞内容に注目が集まりますが、狙いや意義、そして魅力はどんなところにあるのでしょう。解説や授賞式の様子を動画で配信するなど、イグ・ノーベル賞の紹介に取り組む日本科学未来館の科学コミュニケーター、飯田綱規さん(34)に聞きました。

1万件の推薦、1割は自薦

 イグ・ノーベル賞は1991年、ユニークな科学研究を紹介するアメリカの雑誌「Improbable Research(ありそうもない研究)」のマーク・エイブラハムズ編集長が創設し、今年で30回目になります。奇抜さや、想像力豊かな人をたたえることで、科学への関心を高めようという賞です。

 ちなみにイグ・ノーベル(Ignobel)の「Ig」とは、接頭語で「~でない」という意味ですので、「ノーベル賞でない」というパロディーのような意味合いがありますね。また、「ignoble(イグノーブル)(品がない、不名誉な)」ともかけているともされます。

 2018年には創設者のエイブラハムズさんが来日し、未来館にお招きして特別イベントを行いました。そのときのエイブラハムズさんの話によると、毎年約1万件の新たな推薦があり、過去の推薦と合わせた膨大な中から、「人々を笑わせ、そして考えさせる」研究を選んでいるとのことでした。ちなみに応募のうち、約1割は自薦だそう。我こそはと思う方は挑戦してみるのも手かもしれません。ただし、自薦で受賞した例はごくごくわずかだそうです。

カテゴリーは受賞者を選んでから

――今年、京都大霊長類研究所の西村剛准教授らのチームが受賞したのは「音響学賞」でした。耳慣れない賞ですが、どんな部門があるのでしょうか。

 本家のノーベル賞は「物理学」「化学」「生理・医学」「文学」「平和」「経済学」の6部門ですが、イグ・ノーベル賞の部門(創設当初はばらつきがあったが、近年は10部門)の内容は毎年異なります。本家と同じ平和賞や物理学賞などのほか、2005年にはドクター中松さんに「34年以上自分の食事を記録し、影響を分析した」として「栄養学賞」を、10年には北海道大の中垣俊之教授らによる「粘菌が地図上で最適な鉄道網をつくる研究」に「交通計画賞」が贈られるなど、カテゴリーもなかなかユニークです。

 エイブラハムズさんによると、受賞者を選んでからカテゴリーを決めるらしく、これがまた難しいそう。悩んだ例として、巨大なグリズリー・ベアにも動じないスーパースーツを開発し、自身で実験したという1998年の受賞を挙げていました。悩んだ末、「安全工学賞」が贈られています。

――日本のメディアではどうしても日本人受賞者に注目が集まりがちですが、ほかにもおもしろい研究がたくさんありますね。

 はい。例えば今年の物理学賞は、オーストラリアの研究者らによる「ミミズを揺らして形の変化を調べる」という研究でした。この方たちは元々、液体を揺らしたときにどうなるのかという研究が専門なんですね。それで、体内に水を含む生き物の場合はどうなるのか、という疑問から、ミミズを揺らす実験につながったわけです。「what if……?」、つまり、純粋に「もしやってみたら・・・?」という疑問を追究した、ユニークな研究です。

 一方で、ただ奇抜なだけでなく…

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