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 「カットよっちゃん」(税抜き55円)、「ヤッター!めん」(同10円)……。駄菓子が所狭しと並ぶ店内に、なぜか食堂のようなカウンターやテーブル、座敷の席が20。注文したカレーが運ばれてきた。

 鼻をくすぐるスパイスのにおい。ターメリックが香るタイ米にサラサラのルーを絡めて、食べた。トマトの酸味、鶏肉のうまみ、スパイスの豊かな風味が広がる。具材の揚げたゆで卵は半熟気味、適度に焦がしたパプリカはうっすら塩がかかる。こだわりだらけの本格インドカレーだった。

 新潟駅から徒歩10分、万代シテイの東にある商店街の一角に「天狗商店」はある。外見は駄菓子店だが、約100種類の菓子の全売り上げをしのぐという一番人気が「レッドカレー」(同850円)。しかし、なぜ駄菓子店にインドカレーができたのか。

 経営する小池亮博さん(31)と朋博さん(30)の兄弟は、この商店街の近所で生まれ育った。子どもの頃、数百円の小遣いを握って商店街の駄菓子店に行き、クジや菓子に夢中になった。駄菓子店のなくなった商店街に寂しさを感じ、一念発起したのが3年半前。精肉店で働いていた亮博さんが、音楽バンドのメンバーだった朋博さんを誘って開店した。

 当初から、「経営の足しに」と食堂付き。ラーメン店で働いた経験もあった朋博さんが調理担当となり、もんじゃやチャーハンを提供してきた。

 インドカレーと結びつくのは昨年の春だ。常連客が「知り合いのインド人にもらったけど、使い切れないから」と大量のスパイスを持ち込んできた。朋博さんが頼ったのが、かつてアルバイトをしたインド料理店のインド人シェフ。カレーの作り方を教わって試作を重ね、メニューに加わったのがレッドカレーだった。

 その後もスパイスの配合や分量、具材を毎回変え、改良を続けてきた。レッドカレーだけで100通り以上作ったといい、試した食材の数は「見当もつかない」と朋博さんはいう。

 「スパイスがきつすぎない、日本人でも食べやすいインドカレー」をめざしてきたそうだ。レッドカレーのほかに、豆とターメリックが入った辛さ抜群の「イエローカレー」(同850円)と、ホウレン草の「グリーンカレー」(同)も開発した。

 使うスパイスは、それぞれ10種以上。驚くことに、スパイスの配合や材料は今も毎日変えているという。しかも、「一口目から最後まで、ずっとうまいと思うように、味を変える」。細かく刻んだピクルスを混ぜたり、仕上げにスパイスを振りかけたり、あちこちに多くの味を仕込んでスプーン一すくいごとに違った味わいを作るのだそうだ。

 最近の来店客の9割はリピーターだといい、亮博さんは「一度はまると、やみつきになるんです」。「凝り性」の朋博さんは、暇を見つけては動画配信サイトでカレーの調理法を研究中。「新潟のどこのカレーよりうまいし、どんどんおいしくなっていく」と亮博さんは太鼓判を押す。(小川聡仁)

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