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 紅葉シーズンを前に、観光地・松島への人出が戻りつつある。「Go To トラベル」もあって松島町内の宿泊が回復傾向にある中、同町松島の水族館跡地に新たな観光拠点「宮城県松島離宮」が17日オープンした。最初の週末も多くの観光客でにぎわい、関係者はさらなる集客増を期待している。

 松島離宮は、JR松島海岸駅近くの海沿いの県有地に立地。木造2階建ての延べ2470平方メートルに、「スターバックス」などの飲食店や土産物店などが入居し、こけしの絵付け体験もできる。総事業費は17億円。庭園にはモミジ約60本が植えられ、24日からはライトアップも始まる。

 オープン後、最初の日曜の18日。周辺では青森や秋田など県外ナンバーの車もみられた。山形市から友人と訪れた男子大学生(21)は「松島にはこれまでも何回も来たことがあるけれど、新しい楽しみが一つできた」と話した。

 町によると、もとは「マリンピア松島水族館」があり、にぎわいの拠点だったという。2015年に閉館し、跡地活用の方法が検討されてきた。

 16日にあった松島離宮の開所式に出席した桜井公一町長は「松島観光の支えだった水族館閉館の影響は大きかった。宮城を代表する観光拠点のひとつとして県内外から愛される施設になってほしい」と述べた。その後の取材には「『Go To』で客が戻りつつある。紅葉やカキのシーズンも控えており、新施設オープンのタイミングがよかった」と期待を込めた。

 松島観光協会によると、町内宿泊者の対前年比の割合は7月は44%、8月は57%と推移したが、9月は71%(3万3545人)と回復傾向にある。

 施設を設置運営する「丸山」(本社・蔵王町)の佐藤義信社長は「東京近辺のナンバーの車も増えてきた。東北一円の観光のハブ機能をもつ施設にしたい」と話す。(井上充昌、申知仁)

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 国内旅行需要を喚起する「Go To トラベル」の効果もあって、宮城県内の日本人宿泊者数は5月を底に回復しつつある。

 観光庁の宿泊旅行統計調査によると、県内の宿泊者数は新型コロナウイルスの影響で5月に前年同月比で79・4%減まで落ち込んだ。緊急事態宣言の解除後、7月から県独自の宿泊キャンペーンやGoToが始まると、前年同月とのマイナス幅は縮小。7月は同46・6%減と持ち直した。

 ただ、東北6県全体では7月は同39・0%減で、宮城は平均に達していない。東北運輸局は、夏まつりなど各地のイベントが中止になったほか、他県よりも割合の多かった首都圏などからの出張客の戻りが鈍いことも要因とみている。

 9月に入っても回復基調だ。運輸局が県内22の旅館などに宿泊状況を聞き取ったところ、宿泊者数は前年同月比で37%減。各施設のGoToの利用者は50~96%にのぼった。「GoToの効果を感じる」「個人客はプラスだが、団体客はマイナスだ」という声が聞かれたという。

 亀山秀一局長は9日の定例会見で、宮城をはじめ南東北は関東からの客が増えているとした上で、「感染予防を踏まえた新しい旅の定着もGoToの目的の一つ。震災遺構や伝承施設もでき、教育旅行に適している」として、観光振興に力を入れる考えを示した。(志村英司)

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