高千穂鉄道の2橋梁が国の重文へ 宮崎

菊地洋行
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 宮崎県延岡市と日之影町にまたがる旧綱ノ瀬橋梁(きょうりょう)と、日之影町の旧第3五ケ瀬川橋梁の二つの橋が、国の重要文化財に指定される見通しとなった。国の文化審議会が文部科学相に答申した。県内の重要文化財は23件となるが、近代化遺産としては県内初という。

 二つの橋を「旧綱ノ瀬橋梁及び第三五ケ瀬川橋梁」の1件として登録する。ともに延岡―高千穂50キロを結んだ高千穂鉄道(旧国鉄高千穂線)を支えた橋。高千穂鉄道は2003年9月の台風14号の大雨で第1五ケ瀬川橋梁と第2五ケ瀬川橋梁が流されるなどの被害を受け、全線で運転休止。部分復旧が検討されたが08年12月、全線で廃止となった。

 県教育委員会などによると、旧綱ノ瀬橋梁は全長約418メートル。五ケ瀬川とその支流の綱ノ瀬川の合流地点に架かり、1937(昭和12)年に完成した。鉄筋コンクリートの大アーチ1連と、無筋コンクリートのアーチ42連からなる。コンクリート橋として初めてケーブルエレクション工法が採用されたという。

 旧第3五ケ瀬川橋梁は全長約268メートル。高千穂鉄道の吾味駅近くの五ケ瀬川本流に架かり、39(昭和14)年ごろに完成した。V字鉄筋コンクリート連続ラーメンと鋼製トラス橋とを組み合わせた構造になっている。

 文化庁によると、90年代から文化財の保護対象を江戸時代以前の神社仏閣に関するものから、明治時代以降の近代化遺産や産業遺産にも拡大した。

 県教委によると、旧国鉄高千穂線の主要橋梁の設計施工には、コンクリート工学の権威だった学者の指導のもと、日本の土木技術を支えた人たちの活躍があり、「戦時色が濃くなり、鋼材の使用が制限される中、当時の鉄道省が最先端の技術を駆使して完成させた。近代コンクリート構造物の技術的到達点の一つを示している」という。

 延岡市の読谷山洋司市長は「本市として初めての国の重要文化財指定となり、大変うれしい。日之影町と連携しながら見学しやすい環境整備に努めるとともに二つの橋梁を活用した県北地域の観光促進について検討したい」とコメントを寄せている。(菊地洋行)