ガジュマルの下で…日本人が育むタイ孤児施設、運営難に
貝瀬秋彦
タイ北部の古都チェンマイの郊外に、HIVに母子感染した孤児たちが暮らす施設がある。「バーンロムサイ」。日本人の名取美和さん(74)が代表を務める。1999年につくられ、いまは様々な事情で親と一緒に暮らせない子どもたちも、生活を共にする。
その施設がいま、世界に広がった新型コロナウイルスの影響で、厳しい試練にさらされている。名取さんの表情は晴れない。「この状況が続けば、いずれ、運営自体が難しくなるかもしれません」
運営費は主に日本からの寄付と、隣にある宿泊施設「hoshihana village」の収益、敷地内の縫製場で生み出される衣類や雑貨類などの売り上げでまかなってきた。宿泊施設は日本や韓国からの旅行者に人気だったが、タイ政府がコロナ対策で外国人の入国を厳しく制限。日本やタイでの衣類や雑貨の売れ行きも落ち込み、3月には宿泊施設を休業し、縫製場も操業を止めざるを得なくなった。頼りの寄付も、減りつつある。
スタッフを一時的に減らし…