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 神奈川県座間市のアパートで2017年、男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交殺人などの罪に問われた白石隆浩被告(30)に対する裁判員裁判の第9回公判が19日、東京地裁立川支部であった。1~3人目の被害者をめぐる中間論告と中間弁論が行われ、検察側は、承諾なく殺したとする白石被告の法廷供述を「十分に信用できる」と主張した。弁護側は慎重に検討すべきだと訴えた。

 検察側は「殺害状況を直接証明するのは被告の供述のみ」とした上で、客観証拠と比較しながら供述の信用性を検討。殺害された神奈川県の女性(21)と群馬県の女子高校生(15)、神奈川県の男性(20)の3人とも、白石被告にSNSで「自殺意思を撤回していた」と強調した。また、「暴れないように口に粘着テープを貼った」との白石被告の供述と、遺体発見時の状況なども一致していると指摘した。

 その上で、白石被告の法廷での供述について①客観的な事実経過と符合②一貫性があり内容も詳細で合理的③記憶の有無や濃淡を区別して供述し虚偽の可能性もない――として「信用できるのは明らか。殺害の承諾はなく単なる殺人だ」と結論付けた。

 一方、弁護側は、被害者らは殺されても構わないという「黙示」の殺害承諾があったと訴えた。自殺撤回後に死をほのめかす内容をSNSに投稿したことや、殺害時の抵抗は条件反射の可能性があることを例示。「被告の心情に漂うのは諦めだ」と説明し、起訴内容を認めた白石被告の供述を「慎重に検討しなければならない」と裁判員らに求めた。

 裁判は、犯行順に被害者9人を3組に分けて審理されている。この日の論告と弁論を受け、裁判員らは非公開の評議で1組目の3人について殺害承諾の有無を検討する。結果は検察・弁護側には伝えられず、2組目の審理が21日に始まる。求刑は被害者9人全員の審理後に行われ、判決は12月15日に言い渡される。(加藤あず佐、西村奈緒美)