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 すでにある送電線の空き容量を有効に使うことで、北海道内の総発電量に占める再生可能エネルギーの比率を46%まで高められる。そんな試算を政府系の公益財団法人・地球環境戦略研究機関(IGES)がまとめた。再生エネの普及の足かせになっている容量不足が、送電線の使い方次第で大幅に解消できる可能性を示したものだ。経済産業省は今後、こうした活用方法を後押ししていく方針で、今後、再生エネの普及が早まる可能性がある。

 再生エネなどの発電設備を増やすには、その分だけ送電線の容量が必要だ。だが、既存の送電線でそれを確保しようとすると、大手電力から「混雑時に容量が足りなくなる」として、接続を拒否される例が多い。風力発電などの再生エネの導入が盛んな北海道ではすでに、送電線を増強しないと、多くの地域で新規接続ができなくなっている。

 しかし、実際には、平常時には、空き容量がある送電線がほとんどだ。そこで経産省は、空き容量を再生エネの事業者が利用できるように、混雑時だけ再生エネの出力を抑える仕組みにするよう、大手電力に呼びかけている。東京電力が一部地域で始めている。

 今回の試算は、この仕組みを北海道で採り入れた場合、主要な送電線の増強なしでどれだけ再生エネが導入できるかを調べた。

 風力は2018年度実績の4・3倍の195万キロワット、太陽光は同1・16倍の186万キロワットの設備を稼働させたと想定。その結果、水力なども含めた再生エネの比率は最大で18年度実績の26%の1・8倍の46%となった。太陽光と風力だけでも計30%に上る。天候などによる発電のぶれは、火力発電の調整などを最大限活用することで、再生エネの出力が制限された日も1年間で10日ですむ。

 安定供給のための技術開発などの課題はあるが、IGESの内藤克彦シニアフェローは「基幹送電線を増強せず、再生エネを出力制限もほとんどなく供給できることがシミュレーションで示せた。ほかの地域でも運用が十分可能だ」と指摘。今後、日本全体でも送電線の有効活用でどのぐらい再生エネを増やせるかを調べていくという。(桜井林太郎、長崎潤一郎)