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 三重県立明野高校生産科学科(伊勢市)の生徒たちが、ビールの醸造過程で出る麦芽の殻を、養豚用飼料に再利用する技術を4年がかりで考案した。麦芽の殻は栄養価が高い上に繊維質で、脂の口溶けがまろやかになる効果があったといい、環境に配慮した飼料として関係者の期待を集めている。

 生徒たちは19日、麦芽の殻を提供する同市の「二軒茶屋餅角屋本店」のクラフトビール工場で研究成果を発表した。

 学校側によると、同校では県内で唯一、バークシャー種の黒豚を飼育している。2017年度には「伊勢あかりのぽーく」としてブランド化し、近くの「伊勢屋精肉店」でのみ販売してきた。このブランド豚の品質を更に向上させるため、低価格で入手できる食品廃棄物の麦芽の殻を飼料として使う研究を進めた。

 手探り続きだった。3年生でリーダーの豆原快さん(17)は「麦芽の殻を食べて育つ豚は聞いたことがなく、食べてもらえるかどうかから始まった」と振り返る。

 麦芽の殻はカロリーが低く、豚が食べても体重増につながりにくかった。このため、商品として流通しないせんべいのくずを混ぜることで体重増に成功。長期保存のためには一般的に乳酸菌を使うが、コストのかからない密封をして発酵を促す方法もとった。

 県は畜産農家の生産コスト低減やブランド力向上につなげるため、食品廃棄物を飼料に再利用する取り組みを進めている。

 県中央農業改良普及センターによると、県内の食品廃棄物は年間約3万6千トンもあり、うち半分は再利用されないまま処理されている。笹山哲央技師は「飼料のコストを減らしながら生産性と肉質を向上させる同校の取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)の理念にもかなっている」と話す。

 クラフトビール「伊勢角屋麦酒」の製造で知られる二軒茶屋餅角屋本店は、年間300トン近く出る麦芽の殻を産業廃棄物として処理してきた。生徒たちの研究成果について、鈴木成宗社長は「麦芽の殻の処理には多大な労力がかかっており、経済的にもSDGsの観点からも特筆すべき成果だ」と評価している。(安田琢典)

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