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 道内の新型コロナウイルスの感染者数が高止まりを続けるなか、インフルエンザの本格的な流行が心配される冬が近づいてきた。新型コロナとインフルエンザの「ダブル流行」の可能性に、道内の医療従事者は不安を募らせる。(天野彩、武田啓亮)

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 道医療労働組合連合会(道医労連)らが7~8月に道内の医療機関を対象に実施したアンケートでは、「今後インフルエンザが流行すると発熱患者の来院が増える。新型コロナの感染患者と見分けがつかなくなり、コロナの院内感染を防げない」という不安の声が多数寄せられた。

 札幌市中央区にある斗南病院の奥芝俊一院長(68)は、「もしインフルエンザ流行期に開業医がコロナ感染をおそれて発熱患者を断れば、大きな病院に患者が集中して対応しきれずパニックになる。今まで通りみんなで診てほしいし、患者にもいつもの通院先に行ってほしい」と話す。

 同院では現在は病院の入り口や院内の問診で患者の体温を確認し、発熱があれば救急外来でコロナの抗原検査を実施している。今後は発熱患者の増加に備え、院外に2棟の仮設の建物を用意して対応する予定だという。

 インフルエンザワクチンの接種も、例年より早く予約が入り、既に11月末まで埋まっている。用意する約2千本のワクチンは12月にはなくなりそうだ。奥芝院長は「普段は接種しない人も、発熱したら受診を断られるのを恐れて予約しているようだ」という。物資の不足も心配だ。「今は足りているが、感染防護用のフル装備となると、患者が増えればあっという間に足りなくなる。国や自治体には、流行期に備えてしっかり準備してほしい」と話す。

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 新型コロナとインフルエンザの同時流行に備え、行政はどのような対応を取っているのか。

 例年なら発熱患者の診療を行う小中規模の病院が受診を断ると、大規模病院に患者が集中する。こうした医療関係者の懸念に対し、道保健福祉部は国の指針に基づき、規模に応じた対策を図るよう求めている。

 大規模病院では、すでに発熱患者と一般患者の動線を分けている所が多い。一方で小中規模の病院でも、発熱患者だけを受け入れる時間帯を設けるといった工夫ができるという。患者が減った分の収入減は、新型コロナに関する国の補償制度を利用できる。

 また、発熱患者を受け入れる病院には手袋、ガウン、マスク、フェイスシールドの「4点セット」を無償で支給するという国の支援策もあるという。

 札幌市は独自の支援策を講じて、市内の400病院を目標に発熱患者の受け入れを図る。受け入れる病院に対しては検査や治療に必要な設備費用として、最大1千万円を補助する。

 感染予防意識の高まりで、インフルエンザワクチンの接種希望者の急増も予想される。道によると、ワクチンの在庫は全国で約6千万人分。毎年、前年の使用量よりも1割ほど多く用意している。

 ただ、ワクチンの製造は半年かけて行うため、急に製造量を増やすことは難しいという。道保健福祉部は「今のところ、ワクチンが不足しそうだという話は聞いていない」とするが、重症化リスクの高い高齢者や子どもへの確実な接種を呼びかけている。