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 18日に投開票された釧路市長選で、現職の蝦名大也氏(61)の4期目の続投が決まった。蝦名氏は「鉄道高架化を基本にJR釧路駅の周辺整備を推進し、中心市街地を活性化する」を公約に掲げた。約30年も前からある構想は任期4年間でどこまで進み、人口減少にあえぐ道東の拠点市は再生できるのか。

 釧路駅の南北は鉄道で分断されている。このため鉄道を高架化し、その下に南側の北大通と北側の共栄新橋大通を結ぶ計画がある。1990年ごろに人口増に伴う車の交通量対策として構想が生まれたが、財政難から棚上げになっていた。

 高架化構想は2011年の東日本大震災を機に、再び浮上した。通行しやすくなれば、津波の発生時に避難しやすいというのが理由で、市は15年度から再検討を始めた。

 高架化に伴い、現在片側2車線の北大通を1車線に減らし、歩道を広げるという新たな構想が生まれた。マイカーに頼らないコンパクトなまちづくりをめざす。

 市民や専門家らが議論を進めており、今年度末には「釧路都心部まちづくり計画」の事業構想編をまとめる予定だ。蝦名氏は「にぎわいの創出になる。新しい任期中に計画を国に採択してもらう」と意気込む。

 釧路市の人口は約16万6千人で、8年前に比べると約1万6千人減った。持続可能なまちづくりに向けて、今回の市長選でも釧路駅の高架化は争点のひとつとなった。

 候補者の元市議、鶴間秀典氏(46)は「花咲線や釧網線が廃線になる可能性がある。将来の大きな財政負担になる」と反対を表明。「駅周辺に自動運転長距離バスやドローン輸送のテスト場や拠点を設ける」と説明していた。

 元市議の松永俊雄氏(71)も財政的な理由のほか、「民間投資の見通しも立たず活性化にもつながらない」と反対。「空きビル対策に力を注ぎたい」と主張した。

 市は全体の事業規模を220億円と試算する。着工までに早くてもあと7年はかかるとされる。国や市も財政難のなか、実現にこぎつけられるのか。蝦名氏の実績を評価し、投票した市民も首をひねる。

 北大通で15年まで「中山茶紙店」を夫と切り盛りした中山勍子さん(76)もその一人だ。「平日でも祭りのようににぎわっていた」と語られる北大通は現在、シャッターを下ろしたままの店舗が目立つ。中山さんは「市民から寄付を募ってでもやればいい。だけどあと何年かかるかわからないし、市民が大勢歩く姿も想像できない。まずはできることから始めてほしい」と言う。

 市長選の投票率は43・66%だった。2人が立候補した前回4年前より6・63ポイント上がり、市民の関心の高さを一定程度示した。一方で蝦名氏の得票数29956票は、前回より9031票減らした。望ましいまちづくりのため、蝦名氏はより幅広い市民の声に耳を傾けることが求められる。(高田誠)

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