[PR]

 福井県敦賀市の古刹(こさつ)、西福寺のお坊さんと地元住民が手を組み、国の重要文化財「御影堂」などの修復費用に充てるため仕込んだ特製みそ「西福寺門前味噌(みそ)」ができあがった。敦賀の歴史文化を次世代につなげようと、発酵食のプロたちも協力し、こだわりの味が完成した。

 西福寺は1368年、後光厳天皇の勅願寺として創建された。境内にある御影堂や阿弥陀堂などは国の重要文化財に、書院などから望む庭園は国の名勝に指定されている。

 約20年前から修復作業が進むが、損傷の激しい箇所はまだまだ多い。2022年度の開始を目指す御影堂や庫裏などの修復には約20億円かかる予定で、国などの補助を除いて約2億円は寺が負担しなければならない。ただ、西福寺の西澤明登執事補(41)によると、資金のめどは立っていないという。

 寺の苦境を知り支援に動いたのが、市内有志の飲食店オーナーや会社員ら約30人でつくる奉賛会だ。中心メンバーで敦賀駅前で魚屋「魚辻」を営む辻正則さん(70)は、小学校の遠足で訪れて以来、寺の魅力にとりつかれた一人。「敦賀を代表する誇りを何とか守りたい」と思いを語る。

 特製みそ造りは辻さんの長年の知人で、発酵食品の研究などで知られる東京農業大・小泉武夫名誉教授が提案した。教授が講演会で寺を訪れた際、浄財集めの一部にしてはどうかと持ちかけ、同会のメンバーや西澤執事補らによって実現へと動き始めた。

 仕込みは、南越前町のみそ屋「吉五商店」の吉田良治さんが協力。能登半島北端で取れる「大浜大豆」を使い、寺周辺で収穫した農家奥田健司さんのコシヒカリでこうじを作った。みそ汁で飲むと、香りが鼻に抜け、コクが口に広がる。

 1年超の熟成を経て、9月に約550キロのみそが完成。大だるから500グラムずつに分けるパック詰め作業が進む。年内に1千個を作って販売し、利益分を浄財に充てる予定だ。

 「おいしいみそができた。みそをきっかけに寺に興味を持つ人が増え、支援の輪が広がればうれしい」と辻さん。価格は1パック税込み980円。寺や魚辻で買えるほか、市外からも購入できる。問い合わせは魚辻(0770・22・0595)。(佐藤常敬)

関連ニュース