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 コロナ禍が社会にどんな影響を与えているか、どうすれば解決できるか――。そんな問いに、福岡市立東光中学校の3年生48人が正面から挑んだ。大人も分からない「答え」を探そうという探究学習だ。

 「発表を聞きながら、自分の未来を想像しよう」。そんなめあてのもと、3年1組と2組の教室で17日午後、グループごとの発表が始まった。

 あるグループは「外出自粛中に家庭ごみが増えた」という問題を掘り下げた。ごみ収集の仕事が大変になり、温室効果ガスの排出も増えるとして、解決策として「ごみ収集の場所をまとめる(減らす)」を発案。収集が楽になるうえ、遠くまで捨てにいくのは大変だから各自がごみ減量を心がける。そうなればリサイクルが増え、温室効果ガスも減る――という考えだ。

 医療崩壊をテーマにしたグループは「医師や看護師の負担が重い」「院内で感染することがある」などを具体例として挙げ、ボランティアの受け入れやオンライン診療を提案した。観光業の苦境について考えたグループは「密にならずに旅行できるよう、レンタカーの代金を安くする」というアイデアを披露した。

 石丸翔空(そら)さんは「いま実際に起こっていることが題材なので、普通の授業では学べないことを学べる。自分たちが未来を切り開くみたいで、楽しい」。左座心華(ぞうざこのか)さんは「答えがないから他の教科より難しいけど、大切だと思う」と話した。

 東光中学校では一昨年から、答えが一つではない課題を突き詰める「探究学習」に取り組む。今の3年生は昨年度、地域団体と連携し、地域で取り組むSDGs(持続可能な開発目標)の具体案を考えた。今年度は地元の企業と連携して「これから必要になる仕事」を考えて提案する予定だった。だがコロナ禍で企業訪問が難しくなり、断念した。

 その代わり、夏休みに3年全員が、コロナ禍が社会に与える影響についてまとめた。出てきた課題を分類して2~4人ずつのグループを結成。9月から週1回の総合学習の時間を使い、具体的にどんな問題があるか、どうすれば解決できるかを話し合った。

 学習では市教委から一人1台配備されたばかりのノートパソコンを活用した。調べるだけでなく、「共有」という機能を使って、グループみんなで協力して発表用スライドを作った。2コマ続けての授業では、先生が「休憩しよう」と呼びかけても夢中で取り組む生徒が少なくなかった。

 今年度の探究学習は10コマ。休校のあおりで当初予定の半分ほどになった。3年1組担任の有馬周作教諭(26)は「本当は4月から学習を重ねて、もっと内容を深めたかった。入試の点数には直結しないかもしれないけど、面接などで論理的に話す能力につながる」と力を込めた。

 新しい学習指導要領は「主体的・対話的で深い学び」「社会に開かれた教育課程」をうたう。高木徹校長は「コロナ禍の課題は大人でも答えが分からない。その答えを探すことは、社会に目を向けるきっかけになる。学習は受験のためではなく、未来をつくるためなのだと感じてほしい」と話した。(渡辺純子)

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