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 東京電力福島第一原発事故の後、放射線による被曝(ひばく)の心配から福島県の子供たちは外で遊べず、体力は落ち、肥満傾向の子も増えた。危機感を抱き、遊び場作りに先駆的に取り組んだ郡山市の小児科医の菊池信太郎さん(50)はある戒めを心に刻む。

 ――原発事故の後、福島県内の子供たちは放射線による被曝(ひばく)が心配されました。

きくち・しんたろう 1970年8月、東京都生まれ。東京慈恵会医大を卒業し、済生会宇都宮病院などに勤務した後、2010年に祖母が郡山市で開業した菊池医院へ。14年から院長。「ペップキッズこおりやま」を運営するNPO郡山ペップ子育てネットワーク理事長で、復興庁の復興推進委員会の委員でもある。

 「震災後、子供たちは屋内に閉じ込められていました。家の中でテレビを見るかゲームをするか、お菓子を食べるという毎日を送っていれば、運動不足で肥満になります。精神的に不安定で、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になる心配もあります」

 「そこで夏休みに、屋内で遊べるイベントを郡山市で3日間、開きました。5カ月ぶりに大騒ぎして、走り回っている子の肌はみんな真っ白でした。ただ、体を使って遊ぶことは何より大切だと改めて感じた瞬間でした」

 ――震災の年の12月、大型屋内遊び場「PEP Kids Koriyama(ペップキッズこおりやま)」が郡山市にオープンしました。企業や行政に協力を呼びかけるなど中心的な役割を果たしました。

 「子供の元気をつくる場所、成長発達を促す場所を整備しようと考えました。外が危ないからつくったわけではないのです。スーパーのヨークベニマルの社長が倉庫を改装して遊具をそろえ、土地も無償で貸してくれました。PEP(ペップ)とは元気という意味。広大な砂場、10万個のボールプール、大型トランポリン、子供が調理できるキッチン……。子供と一緒に遊んでリードしてくれるプレイリーダーという若者がいることも特徴です」

 ――親たちの心のケアのことも考えたそうですね。

 「抑圧的な毎日は、子供の心を閉ざしてしまいます。子供が開放的になるには、親も開放的にならなきゃいけない。お母さんがリフレッシュできる環境をつくろうと、絵本の読み聞かせや相談の機会を設けました」

 ――施設は全国的にも注目されました。

 「屋内環境がクローズアップされましたが、そもそも震災とは関係なく、子供に必要な施設でした。それだけ社会が子供に対してお金を使ってこなかった。ほっとけば成長するだろうと見ていたわけです」

 ――子供の遊び場は増えました。県のまとめによると、屋内だけでも各地に80施設あります。

 「いいえ、全く足りていません。ペップはあくまでも一つのモデルなんです。屋外に造ろうとか、アクセスのいい街のど真ん中につくろうとか、地域に合わせた遊び場が必要です」

 ――以前、全天候型の遊び場を提唱していました。

 「残念ながら、まだありません。ペップは小学校低学年ぐらいまでしか遊べません。高学年や中学生も伸び伸びと体を動かせる広い施設が必要です。その中に体力テストや心の相談、甲状腺の検査が受けられる体制があってもいい」

 ――遊ぶ楽しさ…

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