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 ジョギングコースで倒れ、心肺停止に陥った男性の命を協力して救ったとして、諫早消防署は偶然その場に居合わせた5人に10日付で感謝状を贈った。薬剤師が119番通報、看護師と医師が心臓マッサージをし、高校生2人が自動体外式除細動器(AED)を取って来た。迅速で的確な行動が人の命を救った。

 「誰かー!!」。長崎県諫早市宇都町にある県立総合運動公園内で9月26日午後6時5分ごろ、芝生広場のベンチに座っていた薬剤師原由貴(よしき)さん(38)=同市=は、男性の大声を聞いた。

 現場に駆けつけると、運動する服装をした会社員男性(37)=同市=が、芝生広場沿いのジョギングコースの上で仰向けに倒れていた。大声の主の男性に「救急車を呼んでください」と頼まれ、すぐにスマートフォンで119番通報した。

 近くで母親のリハビリに付き添っていた長崎大学病院の看護師土屋暁美(あけみ)さん(54)=長崎市=も、大声を聞き、急いで来た。横たわる男性を見るや、直ちに心臓マッサージを始めた。男性は最初はうなり声を漏らしていたが、じきに何も言わなくなった。

 人が集まってきた。近くで自主練習中だった長崎日大高校サッカー部2年の鍬崎哲也さん(17)、小瀬良(こぜら)天翔(てんしょう)さん(17)=いずれも諫早市=もその中にいた。土屋さんは、2人にAEDを持ってくるよう頼んだ。「その場にいた人の中で足が一番速そうだったから」。2人は約200メートル離れた公園管理事務所へ「全速力で」走り出した。

 ジョギング中に2人とすれ違ったのが、長崎大学病院の脳外科医、案田岳夫さん(57)=同市。前方に目を凝らすと、両手を重ねて男性の胸を押す土屋さんの姿があった。案田さんは駆け寄って男性を診察。「呼吸していない、呼びかけても反応がない、脈がない」。心肺停止と判断し、心臓マッサージを土屋さんと交代しながら続けた。

 鍬崎さんと小瀬良さんは管理事務所でAEDを借りるや引き返した。鍬崎さんは「とにかく早く持って行くことだけを考えた。めちゃくちゃ一生懸命走った」。鍬崎さんはAEDを、小瀬良さんはサッカーボールを抱えて疾走した。

 現場にAEDが届き、男性に2回電気ショックを与えると、意識が戻った。「屋外で使うのは初めてだった」と案田さん。午後6時15分、救急隊が到着し、男性は病院へ搬送された。

 土屋さんは「身元がわからないまま死なせるわけにはいかないと必死だった」。原さんは「全ての役割がうまく分担できた」と振り返った。小瀬良さんは「もし自分一人だったらこんなことはできなかった。AEDの使い方や心肺蘇生の方法を学んでおくべきだと思った」と話した。

 原さんを除く4人は10日、原さんは16日、感謝状を受け取った。第一発見者で周りに知らせた男性が見つかっていなかったが19日、諫早市の会社員三浦雅之さん(42)とわかった。署は22日、三浦さんにも感謝状を贈る予定だ。(中川壮)