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 初外遊中の菅義偉首相は20日、政府専用機でインドネシアに移り、ジャカルタ郊外の大統領宮殿でジョコ大統領と会談した。東・南シナ海などで影響力を強める中国を念頭に、東南アジア諸国連合(ASEAN)の地域大国で「戦略的パートナー」のインドネシアと、安全保障・防衛分野の関係を強化する姿勢を打ち出した。

 会談は80分間で、冒頭の20分は「首脳間の個人的信頼関係を築くため」として、通訳だけを交えた1対1で行われた。日本政府の説明によると、同国が取りまとめに注力したASEANのインド太平洋に関する展望は日本の外交方針と共通点があるとして、首相が支持を表明。安保・防衛協力を深める狙いで、外務・防衛閣僚会合(2+2)の早期実施や防衛装備品の日本からの輸出に向けた協議の加速化、海上保安分野の人材育成の推進などで一致した。

 ただ、会談後の共同記者発表で、ジョコ氏は新型コロナウイルス対応や経済協力に時間を割き、安保関係は「南シナ海を安全で安定的な水域にしたい」と述べ、多くは語らなかった。地域情勢では、19日に会談したベトナムのフック首相との温度差がみられた。

 日インドネシア両首脳はまた、コロナ禍で落ち込んだ経済の回復に向けて、日本が500億円の円借款を同国に供与することも発表。人の往来では、ビジネス目的の短期出張者の往来再開をめざすことで一致した。ジョコ氏によると、外相間で今後1カ月間、協議するという。経済連携協定(EPA)に基づくインドネシア人の看護師や会後福祉士候補者の往来再開も確認。首相はコロナ禍で中国依存が明らかになった日本企業の生産供給網の強化を進める考えも伝えた。(ジャカルタ=伊沢友之)