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 千葉市は市内の農林水産物や加工食品などの統一ブランド「千」を立ち上げた。一定の品質を超えたものに千マークの利用を認める。「市内には何でもあるが、全国的に知名度のある強烈な『これ』というものがない」(市農政課)との課題を乗り越えようと、総合力で食の地域ブランド確立をめざす。

 千葉市内の農家はニンジンやキャベツなど多くの野菜を出荷しており、小松菜や落花生も県内有数の生産量だ。イチゴやブルーベリーなどの観光農園も充実している。だが、目玉の商品がなく、首都圏市場で「千葉市産」の認知度が低いことが悩みだった。

 そこで市は仙台市や神戸市など全国17地域のブランド戦略を調べ、今年3月、市「食のブランド」戦略を策定。「千葉市の食を千年先へ」とのコンセプトで、ブランド名を千とした。

 現在、ブランドに参加する市内の農漁業者や観光農園、飲食店を募集している。識者や地域ブランドの専門家らでつくる審査委員会が地域性や独自性、安全性、持続可能性、地域への貢献度などの観点で一定以上の評価をすれば、ブランドロゴの「千」マークの利用を認める。今年は10件程度の認定を目指し、11月下旬に最終審査を実施する予定だ。

 10年後には300件以上を認定し、全体で3億円以上の経済効果を生むことが目標だ。市は、認定した商品について首都圏で紹介イベントを開くほか、特設ウェブサイトで後押しする。

 認定の可否にかかわらず、課題を抱える申請者には市が専門家を派遣するなどの支援も行う予定。申請は無料で、締め切りは10月30日。詳しくは市農政課流通支援班(043・245・5758)へ。

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 市内の農家も千葉市ブランドの確立に期待を寄せる。

 緑区で「笑顔のさと 染谷農園」を営む染谷智さん(50)は、無化学肥料と農薬をなるべく使わず作るニンジンや米などで申請する予定だ。ニンジンは2017年と今年、日本野菜ソムリエ協会の品評会で銀賞を受賞した。だが、数年前、築地青果市場の従業員から「千葉には何もない」と言われた悔しさを忘れられないという。

 温暖な気候に恵まれた千葉は、年間を通じて様々な品種の市産野菜を出荷できるため、うまく個性が打ち出せていないと分析する。「『千』が普及し、その農作物がおいしければ、農園や千葉市のファンになってもらえる」

 ブランド確立が、地域活性化や農業人口の増加に一役買うと期待を寄せる農家もある。

 「ちはる農園」(若葉区)の斉藤憲次さん(54)は、観光農園や青果での応募を考えている。生産するイチゴやメロンは県内外にリピーターも多く、1カ月で千人以上が訪れることもある。

 周辺にある数軒の観光農園や近くオープンする観光牧場なども認定をとれば、地区に足を運ぶ人が増えると考える。「イチゴ狩りをして牧場に行く、という観光ルートができれば街全体が面白くなる。市への新規就農者も増えれば、後継者不足の農業全体にとってもうれしいことだと思う」(真田香菜子)