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 欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は20日、加盟国のキプロスとマルタが投資の見返りに国籍を与える「ゴールデンパスポート」と呼ばれる制度がEU市民権を「販売」しているとして、是正を求める法的措置に入ったと発表した。

 両国はともに地中海の小国で、一定額以上の投資を条件に、申請して認められれば国籍が得られる。EU加盟国の国籍があれば、EU域内の自由な移動などEU市民としてのすべての権利を得られるため、EUは「市民権の趣旨を損なう」として問題視していた。両国に対し、2カ月以内に状況や対応について回答するよう求めている。

 ゴールデンパスポートをめぐっては、キプロス政府が資金洗浄の疑いのある中国人投資家らにいったんパスポートを交付するなど、ずさんな制度の管理が問題になっている。キプロスの国会議員が架空の投資家の申請に便宜を図ろうとした疑惑も報じられ、同国政府は今月、制度の停止を発表した。マルタでも、前首相の首席補佐官が9月、パスポート交付の見返りを受け取った疑いで検挙された。

 マルタのメディアによると、同国は最低1年以上、国内に居住しないと申請できなくするなどの制度の見直しを進めている。一方でアベラ首相は19日、「(ゴールデンパスポート)制度による貢献がなかったら、現在の規模の予算は示せなかった」とも言及。20日に出した政府の声明では「誰に市民権を与えるかは、加盟国に独自に決める権限がある。国益と主権を守るために、あらゆる法的手段を講じる」と主張した。(ローマ=河原田慎一)