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 植物の持つ酵素を改良し、二酸化炭素(CO2)を糖に変換する光合成がより起きやすくすることに成功したと、神戸大学や立命館大学の研究チームが米科学誌セルの関連誌モレキュラー・プラントで発表した。

 チームの深山浩・神戸大学准教授は「農作物の収穫が増えることが期待できる。CO2は地球温暖化の原因となるため、温暖化の抑制にも役立つ」としている。

 光合成は、光エネルギーを使う化学反応だ。この反応を「Rubisco(ルビスコ)」という酵素が担う。ルビスコは、「RbcL」「RbcS」という2種類のたんぱく質でできている。

 チームは、イネのRbcLと、光合成能力が高いイネ科ソルガムのRbcSを組み合わせた、ハイブリッドのルビスコを作り能力を調べた。

 すると、CO2を糖に変換する光合成反応が、イネのルビスコに比べて約2倍の速度で進み、光合成量が1・23倍に増えた。

 詳しく調べると、ハイブリッドのルビスコは、イネのルビスコよりも、CO2が結合するRbcLにある隙間が大きいことがわかった。

 チームの松村浩由・立命館大学教授は「隙間が大きい方が、ルビスコの動きがよくなる。光合成反応が速くなった理由は、イネとソルガムのルビスコを組み合わせたことによって、隙間ができ、動きがよくなったためと考えられる」と話す。

 イネとソルガムのルビスコを組み合わせた技術は、遺伝子組み換えだ。日本では法律での厳しい規制もあり、遺伝子組み換え技術で商業栽培がされている食用、飼料用農作物は現在ない。

 松村さんは「遺伝子組み換えをしなくても、ゲノム編集で、イネのルビスコのCO2が結合する部位に隙間を作ることができれば、日本でも農作物で利用されるのでは」とし、今後の研究につなげるという。

 研究チームによれば、農作物でルビスコの能力が高いのは、トウモロコシやサトウキビなど。それに比べると、イネや小麦、野菜、果物など、ほとんどの農作物は能力が低い。

 深山さんと松村さんは、「世界全体では、イネに限らず農作物の収穫を増やす必要がある。ルビスコの活性が低いほとんどの農作物で同じ方法を応用できる。大気中のCO2濃度が上昇している中、CO2削減にもつながる」と話す。(神田明美)