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 北方領土の元島民らがチャーター機で上空から慰霊する事業が21日始まった。新型コロナウイルスの影響で今年度のビザなし渡航がすべて中止になったことを受け、北海道が千島歯舞諸島居住者連盟とともに実施した。25日にも実施する予定だ。

 第1便のプロペラ機は、21日午前に根室中標津空港を飛び立ち、北方領土に近い北海道の上空を約1時間飛行した。元島民やその家族、鈴木直道知事や、鈴木宗男参議院議員ら国会議員、道議会議員ら30人が搭乗した。参加者によると天候は良く、国後島などがよく見渡せたという。

 鈴木知事は終了後、今回の上空慰霊は、現地を訪れる墓参などを代替するものではなく、今回限りの措置だと強調。「コロナ禍であっても、交流事業ができることが大事だ」とし、来年度以降は新型コロナへの対策を万全にした上で、ビザなし交流を再開すべきだとの考えを示した。

 第1便に搭乗した元色丹島民の得能宏さん(86)は、「歯舞群島の秋勇留、勇留島は見えた。故郷の色丹島は雲で見えなかったが心眼で見た。手を合わせた。仮設の供物を持参し、読経した」と振り返った。(松尾一郎、大野正美)