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 高校ラグビーの聖地、花園を目指す戦いが、和歌山県内でも始まった。今年は10校が参加するが、そのなかでも異色なのが県立那賀高校(岩出市)だ。元日本代表という華やかな経歴を持つ監督がチームを率いる一方、部員は試合ができるぎりぎりの人数。それでも部員数の少なさを苦にせず、上を目指して臨んでいる。

 17日、雨でぬかるむグラウンドで、那賀高校の選手たちはOBとの紅白戦に挑んでいた。走るたびに水しぶきが上がる中、パスをつないでトライを奪うと、監督の吉田大樹さん(38)は笑顔を見せた。

 吉田さんは東京農大二高(群馬県)、同志社大を経て2004年にラグビーの国内最高峰、トップリーグの東芝に加わった。バックスとして活躍し、日本代表で主将を務めたリーチ・マイケル選手らとも一緒にプレー。自身も15人制と7人制の日本代表に選ばれた。

 14年のシーズン後に東芝を退団。知人からの紹介もあり、国体に向けて各競技のレベルを上げようとしていた和歌山で次のキャリアを積もうと移住した。妻の実家が橋本市だったことも背中を押した。「骨を埋めるつもりで来た」。ニット生地を作る「ヤマヨテクスタイル」(和歌山県上富田町)で働きながら、県代表として国体に参加した。

 教師だった両親の影響から、社会人時代に教員免許を取得。国体後の16年からは熊野高校でラグビーを教え、18年から那賀高校に異動した。

 指導者として「ラグビー人口を増やしたい」と話す。責任感をもつことや、個々の長所を生かすことなど、競技の魅力を感じてほしいと願っている。

 現在の部員は16人。15人で試合をするラグビーではぎりぎりの人数だ。また、就職活動や受験勉強のため、選手全員がそろわないこともある。その中で吉田さんは、基本の大切さや、チームが勝つために何をすべきか考えることを、社会人時代に経験したことも交えながら伝えている。

 一方の選手たち。部員が少ないことは気にかけず、のびのびとプレーしている。辻本賢吾主将(3年)は「(社会人でプレーしたこともある)先生から基礎の重要性を教えてもらえた。土台は大事だと実感している」。都合田晴介副主将(同)は「部員が少ない分、みんなでコミュニケーションがとりやすく、一丸となっている」と語った。

 花園への出場校を決める県大会は18日に開幕した。那賀の初戦は25日で、和歌山北と対戦する。決勝は11月8日だ。吉田さんは「親やOB、仲間たちといった支えてもらった人への感謝をプレーでみせてほしい」と期待している。(藤野隆晃)

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