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 水素で走る燃料電池車(FCV)を、災害による停電時の非常用電源として活用する実証事業を山口県周南市が始めた。避難所にもなる櫛浜(くしがはま)市民センターにFCVから給電する設備を整備し、21日に給電の様子を公開した。県内の公共施設では初の取り組みという。

 センターに外部電力の取り込み口を設置し、分電盤を改修。停電時には、分電盤を手動で操作して外部からの給電に切り替え、FCVが発電した電気を外部給電機やケーブルを通じて取り込めるようにした。60人まで収容できる2階の36畳の和室と、トイレの電気が使えるようになる。最大1500ワットの電力を、水素が満タンなら40~60時間、供給できるという。

 市は来年度にかけて非常時における水素使用量や消費電力量などのデータを集める。市商工振興課の渡辺雄二課長は「ほかの公共施設にも広げていければ」と話す。

 自主防災を担う櫛浜地区自治会連合会の田中義啓会長(81)は「まだまだ課題はあるが、災害対応や水素の実用化に向けて一つのステップを踏んだ」と評価した。

 周南市には県内唯一の商業用の水素ステーションがあり、コンビナートで発生する未利用の水素を回収し、FCVなどに供給している。FCVは燃料となる水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を生み出し、モーターを動かす。水素ステーションで水素を数分で満タンにでき、数百キロ走ることができるのが特徴で、周南市はFCVを3台管理している。(垣花昌弘)

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