[PR]

 アジア太平洋戦争中に日本で獄死した韓国の国民的詩人・尹東柱(ユンドンジュ)を題材にした演劇「星をかすめる風」が先月、東京で上演された。韓国の人気作家による原作小説は各国で翻訳され、話題を呼んでいる。日本版を翻訳した鴨良子さん=仙台市=は「読む人の人生に語りかける作品」と話す。

 尹は同志社大に留学中の1943年、治安維持法違反の疑いで逮捕された。朝鮮語による詩作が「朝鮮独立運動」とみなされた。福岡刑務所に収監され、45年に27歳で獄死した。

 イ・ジョンミョンによる原作は、尹の獄中生活を中心に描く。小説の虚構性を生かし、尹の詩を検閲する日本人看守らとの物語をサスペンス調に、ある時は情感豊かに膨らましていく。

 鴨さんは「洗練された文体や場面の描写、にじみ出るトーンを壊さないように翻訳することにとても苦労した」。朝から晩までかかって、3行程度しか訳せないこともあったという。

 原作は韓国でベストセラーとなり、イギリスやフランスなど多くの国で出版され、イタリアでは文学賞を受賞した。「人としてどう生きるかという問いは国境を越えて訴えるものがある」と人気の理由を語る。

 82~91年に韓国で暮らした鴨さんは、若者にも尹の詩が広く知られていることを知った。「将来を担う日本の高校生にこの本を読んで、韓国の歴史に関心を持って欲しい」と期待する。

 舞台の収録映像のオンライン配信が23~25日にある。申し込みは青年劇場のホームページ(https://www.seinengekijo.co.jp/別ウインドウで開きます)で。(高橋昌宏)

関連ニュース