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 新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備え、愛媛県は新型コロナの検査態勢の見直しと拡充を進めている。地域の医療機関で新型コロナの抗原検査を導入し、その場で陽性かどうかを確認できるようにする。検査数が大幅に増える一方、精度が比較的低い抗原検査の結果の取り扱いに課題も残る。

 新型コロナとインフルエンザはどちらも発熱などの症状があり、検査をせずに見分けるのは難しい。県が想定する今冬の県内発熱患者数は、ピーク時で1日あたり約5110人。インフルエンザ流行期前より約4760人増える想定で、発熱患者の受け入れ態勢の増強が求められてきた。

 これまでは新型コロナが疑われる場合、「帰国者・接触者相談センター」に相談し、帰国者・接触者外来で検体を採取。主に県衛生環境研究所でPCR検査を実施してきた。この仕組みを11月中旬ごろに変える。

 県は、新型コロナとインフルエンザの両方の検査ができる「診療・検査医療機関」の指定を進める。この役割を地域のかかりつけ医など身近な病院や診療所に担ってもらう。指定された病院や診療所には短時間で陽性かどうかを確認できる抗原検査の簡易キットが導入され、発熱患者は直接電話で予約した上で受診し、必要に応じて検査を受けられるようにする。

 「診療・検査医療機関」について、県は250カ所を確保することを目標とする。10月中旬に発表された第1次意向調査では、県内の全医療機関1162カ所のうち174カ所が「診療から(抗原)検査まで対応」、119カ所が「診療のみ対応」と回答した。中村時広知事は15日の記者会見で、「第1次募集の段階で、多くの方々が名乗りを上げてくれて大変心強い。県内六つある医療圏域ごとに一定数の医療機関を確保できる見込み」と述べた。

 抗原検査しない医療機関は、県が新たに各医療圏域に1カ所以上設置する「地域外来・検査センター」を紹介。センターはドライブスルー方式で検体を採取し、県衛生環境研究所に送ってPCR検査をする。

 今の「帰国者・接触者相談センター」は「受診相談センター」に変更。発熱患者の相談に応じ、最寄りの医療機関を紹介する。

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 新態勢に移行すると、多くの医療機関でインフルや新型コロナの判別が可能になる。ただ、簡易キットによる抗原検査にはPCR検査と比べて偽陰性や偽陽性が出やすい問題がある。

 「抗原検査で陰性と出て、その後やはり陽性だったとなれば、周囲に感染を広げる可能性もある」。県保険医協会副会長の越智クリニック(松山市)・越智邦明院長は話す。

 県の意向調査には「診療のみ対応」と回答し、抗原検査の導入を見送る考えを示した。発熱患者の受け入れやインフルエンザの検査はするが、「精度がはっきりしない以上、私は抗原検査には手を出さない」。

 厚生労働省の指針では、抗原検査の結果が陰性であっても、ウイルス量が多い発症2~9日目を除き、PCRなどの追加検査を求めている。抗原検査の精度の問題について、県は対応を「検討中」とし、医師会と調整していくという。(足立菜摘)