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 木にストレスをかけずに育てたお茶の風味を知ってほしい――。宮崎市の茶屋が販売する有機栽培茶の豊かな味わいが、首都圏や海外で注目され始めている。

 東京・新宿高島屋で9月に開かれた食の逸品を集めた催事。宮崎茶販売店「白玄堂」の白尾尚美さん(43)のブースに、煎茶やほうじ茶を求める客が次々と訪れた。「飲み心地が良くおいしい。ここのお茶以外飲めない」と目黒区の佐藤友子さん(71)。ネットでも取り寄せているという。

 白尾さんは大学卒業後、静岡の旧農林水産省野菜・茶業試験場で学び、30歳の頃から父の店を手伝い始めた。焙煎(ばいせん)やブレンド、営業を学ぶ中、「のどにつかえて飲めない」と感じるお茶があることに気づいた。

 都農町で茶農家を営む叔父の河野平治さん(70)に話すと、「化学肥料が原因ではないか」と言われた。「茶畑の土を食え。食わんと分からん」との言葉に、シャベルを持って畑を回るようになった。

 微生物が多くずっと嗅いでいたいような香りがする土で育てたお茶は、まろやかで甘みがあった。一方、農薬や化学肥料が過剰で香りがしない畑のお茶は苦く感じた。「飲んだ後に余韻に包まれ、すっと体に染み込むお茶」を求め、叔父が経営する河野製茶など4農園の有機栽培茶を主に扱うようになった。

 木に覆いをかぶせれば茶の緑色が濃くうまみも強くなるが、「茶にストレスをかけずに育てれば、飲む人もストレスを感じない」と露地栽培にこだわる。

 農林水産省によると、日本農林規格(JAS)認証を取得している国内の有機栽培茶は1割に満たない。だが海外ではニーズが高く、生産量、輸出量とも増加傾向にある。白尾さんのお茶も、数年前から香港やアメリカのレストランなどと取引が始まった。

 日本でも新宿高島屋に年に2回出店し、今月から食品スーパーの成城石井も取り扱う。成城石井の担当者は「生産者と一緒に茶の栽培や肥料作り、摘み取りに関わり、丁寧に商品を作っている」と評価する。以前は年間売り上げが125万円だったが、5年で10倍になった。

 「気候によって風味が毎年変わるのが醍醐(だいご)味。環境を大切にして作った自然の味を知ってほしい」と白尾さん。一人一人の客に向き合い、その良さを伝えたいという。(大坪実佳子)

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