「今こそアートが必要」BIWAKOビエンナーレ開催中

寺崎省子
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 滋賀県近江八幡市の旧市街地にある歴史ある町家や元造り酒屋などを会場に、「国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ2020」が開かれている。2年に1度の開催で、今年は新たに国宝・彦根城や庭園など彦根市内も会場に加わった。テーマは「森羅万象~COSMIC(コズミック) DANCE(ダンス)」。新型コロナウイルスの世界的な流行の影響で、来場がかなわなかったアーティストの作品も展示されている。11月23日まで。

 事務局によると、国内外から59組のアーティストが参加。外国人作家だけでなく、海外で活動する日本人作家も来日できない人が多く、家族や他の参加者らがメールやウェブ会議システムで指示を受け、空輸した作品の展示を手伝ったという。

 彦根会場(8カ所)の一つで、140年の歴史があったが昨年に閉店した銭湯「山の湯」では、ベルリンを拠点に活動する岡林まゆみさん(47)の作品が展示されている。「touch(タッチ) in(イン) timescale(タイムスケール)~KIX」。2016年に始めた空間を使った展示「インスタレーション」のシリーズで、KIXは、会場最寄りの国際空港である関西空港の空港コードだ。

 石粉粘土の小さな白い塊を手で握って指の形やしわを刻んで針金をつけ、その場に居た人が見たり触れたりしたであろう脱衣所のロッカーや鏡、壁などを視線でなぞるようにいくつも配置してある。たくさんの白い塊が浮遊しているかのようだ。傍らには、生き物のように粘土の人形が少しずつ動くクレイアニメーションも映し出されている。

 岡林さんによると、コロナ禍で自粛が続いていた芸術活動が、欧州でも再開され始めた。「外でアートに触れる機会をありがとう」。帰国直前にベルリンで開いた展覧会で、そんな言葉を会場を訪れた人からもらった。だからこそ、今回のビエンナーレには「絶対に参加したかった」。

 搭乗予定の関空行きの便が2度なくなり、9月下旬にようやく帰国。大阪府内の実家で作品のパーツを作って待機期間を過ごした。

 「閉塞(へいそく)的な状況がある今こそ、アートは必要だと思います。感受性も強くなっている。会場に来て、いろんなことを感じてほしい」

 近江八幡会場(10カ所)の一つ、まちや倶楽部では、特殊照明作家・市川平さん(55)が20年前に発表した「バオバブ・プランテーション」が展示されている。作品の中で照明を動かし、穴から漏れる光や影が変化していく。照明で他の作家とコラボレーションもしている。来場できなかった作家のメッセージを入れた瓶を「砂浜」で見られる作品や、来場者にメッセージを書いてもらうコーナーもある。

 近江八幡と彦根両エリアセットの「共通チケット」は一般3500円▽学生(大学・専門学校・高校)2500円。近江八幡か彦根いずれか1エリアのチケットは一般2500円▽学生2千円。一部、追加で入場料が必要な会場もある。

 午前10時から午後5時まで。水曜日休み。詳細はBIWAKOビエンナーレのホームページ(https://energyfield.org/biwakobiennale別ウインドウで開きます)へ。(寺崎省子)