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 近年は減少傾向にあった自殺者数が7月以降、増加している。目立つのが、若者が自ら命を絶っていることだ。国はSNSを使った相談窓口の整備に力を入れているが、急速な相談の増加に、応じる側の手が足りない現実もある。

 今年の自殺者数は、7月から3カ月連続で前年同月を上回った。8月の自殺者数は前年同月比318人増の1854人(暫定値)。年代別では20歳未満が2・1倍、20代が1・4倍と若い世代が増えている。

 国はその対策として2018年3月から、SNSによる相談事業への補助を始めた。

 パソコンの画面に、ツイッターやLINEの専用アカウントへ寄せられた相談が、次々と映し出されていく。国が相談事業に補助している4団体の一つ、NPO法人「東京メンタルヘルス・スクエア」(東京都豊島区)。18年3月からSNSの相談窓口「こころのほっとチャット」を運営している。

 新型コロナの感染防止のため、事務所の部屋にいるのは相談員1人と、全体の状況を把握しながら振り分けや相談内容、行政支援などについてアドバイスをするスーパーバイザー1人。ほかに6人の相談員が在宅で勤務する。常にテレビ電話でつながり、声を掛け合いながら、それぞれ相談に対応している。

 月平均1千件程度だった相談は、新型コロナの感染が拡大した4月以降に急増。8月の対応件数は2千件を超えた。

 「親といるのが嫌なのに、家に居ざるをえない」「非正規切りにあい、生活に困っている」「寂しい」。内容はさまざまだが、新型コロナによる外出自粛や経済悪化などで、それまでも抱えていた問題が表面化したケースが多いという。カウンセリングセンター長の新行内(しんぎょううち)勝善さん(51)は「影響が長期化し、先が見えないと感じている人が多い」と話す。

 相談時間は1件最大50分。3月までは3人だった相談員を7人に増員しても、1日に対応できるのは70件程度が限界だ。窓口へのアクセスは9月の多い日では1日1800件近くにのぼり、「対応できない相談の方が多い」と言う。「死にたい」など切迫度が高そうな相談から対応するが、文面だけでは判断が難しく、日々、苦渋の決断を迫られている。

 19年度に実施されたSNS相談の延べ件数は国が補助する団体だけでも前年度の約2倍の4万5千件超にのぼった。身近なツールを相談に使えることから、若い女性を中心に相談数は増え続けており、新型コロナに見舞われた今年度はさらに上積みされているとみられる。

 その一方で、「つながりにくい」という課題も深刻化している。相談員を増やすことが急務だが、そう簡単ではない。

 「東京メンタルヘルス・スクエア」では、カウンセラーとして電話などでの自殺相談の経験がある人を募っている。

 経験者ならば、10時間程度のSNS相談専門の研修を受ければよい。ただ、相談経験者は50代以上が多く、SNS相談に必要なパソコンの操作に慣れていないことから応募をためらう人も多い。また、相談員が増えれば経験を積んだスーパーバイザーも増やす必要があり、新行内さんは「急速な拡充は難しい」と言う。

 NPO法人「ライフリンク」が…

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