大部俊哉
拡大するそこが気になるアメリカ大統領選
アメリカ大統領選に投票できるのは、アメリカに住んでいる人だけではありません。国籍を持つ人であれば、国外からでも郵便などを使って投票できます。もちろん、日本からも。日本に住むアメリカ人の目に、母国の大統領選はどのように映っているのか。投票するうえで重視することは何か。そして、日本人がアメリカ大統領選を見る際のポイントは? アメリカ人の父と日本人の母の間に生まれ、ミュージシャンや国際ジャーナリストなどとしてマルチに活動するモーリー・ロバートソンさん(57)に聞きました。
――幼少時からアメリカと日本を行き来して生活してこられました。母国の大統領選を日本からどうご覧になっていますか。
今回の大統領選は、非常に身近なものに感じています。トランプ大統領のキャラクターが、いろんな意味で「異次元の存在」だということももちろん大きいですけど。それだけでなく、日本に住んでいるアメリカ人の中には、トランプさんのやり方に危機感を持っている人が多いんじゃないかなと思います。もちろん、グローバルにビジネスをしている人などは、経済改革では肯定する人もいるでしょうけどね。東アジアで膨張気味の中国を日本だけで抑止することは難しいので、「やっぱり強いアメリカが必要だ」というような。
拡大するアメリカ大統領選について話すモーリー・ロバートソンさん=2020年10月9日、東京・築地の朝日新聞東京本社、上田幸一撮影
――アメリカ人が持つ「危機感」というのは?
私はニューヨークのマンハッタンで生まれて、5歳までサンフランシスコ市内や郊外、5歳から中学2年までは広島に住んでいました。その後は日米を行ったり来たりです。日本に住んでいるアメリカ人ということは、国境をまたぐ人たちなんですね。日本人と結婚している人も多いです。そうしたトランスナショナルな人たちにとって、トランプさんのように指導者が「国境を強化せよ」という姿勢を打ち出すことには、やはりどこか不安を感じるんです。今はどちらかというと不法移民の問題でメキシコの国境が焦点になっていますが、たとえばテロリストに中東の出身者が多いということで中東の人が入国拒否をされることもありうる。さらに、個別に何らかの理由をつければ、それが日本人に適用されることだって、ありえないことではありません。日本で暮らす私たちには身近な問題で、怖さを感じるんですよね。
――大統領が分断をあおれば、国外のアメリカ人にも影響すると。
そうですね。今のアメリカをみ…
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朝日新聞国際報道部