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 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)2号機の再稼働について、県議会(定数59人、欠員2人)は22日の本会議で、賛成する請願を自民党系会派などの賛成多数で採択し、再稼働に同意する意思を正式に示した。これを受けて、村井嘉浩知事は11月中にも最終判断をする意向を示した。同月中にも同意を表明する見通しだ。

 村井知事はこれまで、再稼働に同意するか決める際に、県議会と市町村長の意見を最重視する考えを示してきた。知事は請願の採択について、「明確に県議会が再稼働に容認の姿勢を示した」と報道陣の取材に答えた。

 知事は、市町村長から意見を聞く会議を11月9日に開く予定だと正式に表明。結論が出れば、その後早い段階で女川町長と石巻市長と会談し、11月中にも最終判断を示す意向を示した。

 議会の判断については「私の考えを忖度(そんたく)したということは全くないと思う。一人一人が県民の負託に応えるため判断した結論だ」と述べた。

 県議会は9月議会最終日のこの日、女川町商工会が出した早期の再稼働を求める請願について、本会議で審議した。議員54人による起立採決の結果、最大会派の自民党・県民会議30人、公明党県議団4人、21世紀クラブ1人の計35人による賛成多数で採択した。

 野党のみやぎ県民の声、共産党県議団など計19人は反対した。自民会派の藤倉知格氏と緑風会の高橋啓氏は採決の前に退席し、棄権した。議長(自民会派)は採決に加わらなかった。

 市民団体が出した再稼働に反対する請願は、賛成少数で不採択になった。

 閉会後に記者会見した石川光次郎議長は「委員会で参考人を呼んで意見聴取もして、全員協議会で質疑をした」として、十分な議論が行われたとの認識を示した。

 県議会は9月23日に開会した。女川2号機の再稼働については、同24日に国の担当者を招いた議員全員協議会を開催。代表質問や一般質問の後、今月13日の環境福祉委員会で参考人として国の担当者と質疑した後、再稼働賛成の請願を採択した。

 女川2号機は、東北電力が安全対策工事を終える2023年にも再稼働する可能性がある。事故が起きた東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型炉(BWR)だ。BWRは東日本に多く、震災の後、再稼働した例はまだない。

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 採決に先立って、賛成、反対の立場から討論が行われた。

 佐々木幸士氏(自民)は「原子力発電は安定的に電力を供給できるベースロード電源。当面は原発の稼働が必要だ」と指摘。国のエネルギー政策上の必要性や、復興の途上にある地元の女川町や石巻市の思いに寄り添う責任があるとして賛成の考えを表明した。

 一方、佐々木功悦氏(県民の声)と金田基氏(共産)は、事故が発生すれば壊滅的な被害が起きるほか、使用済み核燃料の処理法が確立されていないことや、避難計画の実効性にも懸念があるなどと主張し、反対を表明した。

 閉会後、再稼働反対の議員でつくる「脱原発をめざす県議の会」は、避難計画の実効性確保を最優先課題として取り組むよう村井嘉浩知事に申し入れた。(徳島慎也、窪小谷菜月、志村英司)

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 議論を始めてわずか1カ月。福島第一原発事故が起きた隣県の県議会が、地元の原発を再び動かすことを認める結論を出した。

 9月23日に開会した議会では、代表質問や一般質問で、議員から避難計画に関する質問が相次いだ。ただ、「実効性の確保に県が責任を持つべきだ」との指摘に、村井嘉浩知事は「(国の)原子力防災会議で了承され、基本となる部分の実効性は確保された」と繰り返した。議員と県執行部で、かみ合わない質疑が続いた。

 10月7日、再稼働に賛成する請願が議会に出された。一般質問は後半にさしかかり、議会閉会まで15日しか残っていなかった。

 13日にあった環境福祉委員会での請願審査は、9分間で終わった。市民団体や野党は、事前に請願者を呼んでの意見陳述や、賛否双方が推薦する有識者の参考人招致を求めた。だが、自民会派など与党が多数を占める委員会は、双方の出席が難しく公平でないとして、実現しなかった。

 原発の地元議会の審議はどうだったか。女川町議会は請願や陳情を、議長を除く全11議員による特別委員会で審査。5カ月間にわたって7回委員会を開き、請願者から説明を聞くなど議論を重ねた。石巻市議会も、二つの委員会で連合審査会を組むなどして、3カ月間で9回審議した。

 それらと県議会との姿勢の差は、歴然としている。

 再稼働に反対する野党側の質問も、安全性が不十分だとの指摘に終始して、迫力を欠いた。ある与党系ベテラン議員は「再稼働しても、少なくとも運転延長はさせないとか、実を取る意識がなかった。戦略が全くない」と指摘した。

 県民の安全な生活に直結する再稼働について、女川、石巻の議会で審議が終わり、県議会は最後の議論の場だった。県民の代表者でつくる県議会は、熟議を尽くしたとは言えない。

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