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 茨城県の大井川和彦知事は22日の定例会見で、新型コロナウイルスとインフルエンザの両方の診療や検査ができる医療機関が、目標の3割に満たない状況だと明らかにした。検査を受けられる医療機関を3倍に増やす方針だが、風評被害や院内感染のリスクへの懸念から、協力が得られにくい状況になっているという。

 厚生労働省は9月、コロナとインフルの同時流行に備え、両方の診療や検査が可能な「診療・検査医療機関」を都道府県が指定する方針を打ち出した。従来、感染を疑う人は保健所などに設置されている「帰国者・接触者相談センター」に相談し、専門の外来を受診する流れになっていた。今後は、かかりつけ医などの地域の医療機関にも診療を担ってもらう運用になる。

 1日あたり1万件超の検査態勢を目指す県は、必要な医療機関の目標を、現在検査が受けられる機関の3倍にあたる518カ所と設定。11月中旬に新たな運用を始められるよう、26日を締めきりとして医師会と連携して医療機関に協力を呼びかけてきた。

 だが、19日までに呼びかけに応じた医療機関は136カ所にとどまっているという。大井川知事は「大変危機感を持っている」と述べ、協力が得られにくくなっている背景を「風評被害や院内感染、患者の殺到などの理由でちゅうちょする医療機関が多いと聞いている」と説明した。

 また、大井川知事は診療・検査医療機関は公表するのが望ましいとした上で、「医療機関の判断で公表しないという選択肢も、加えざるをえないと思う」との見解を示した。(久保田一道)

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 コロナ禍で医療機関の受診を控え、症状を悪化させている人が増えている――。県保険医協会が10月2~9日にアンケートしたところ、回答した医療機関の5割超が「受診控えによる症状悪化を確認した」と回答した。

 同協会が医師や歯科医師が所属する医療機関1601施設を対象に実施し、234施設が回答(回答率15%)した。

 受診控えが進んでいると答えた医療機関のうち、「その後の患者来院時に症状悪化を確認した」、あるいは「来院が無く症状の悪化が懸念される」ケースがあったと答えたのは54・9%にのぼった。6月に行った同様の調査から約12%増えていることから、「受診控えの長期化で、受診が必要な患者の症状悪化が確実に進行している」とした。

 また、新型コロナとインフルエンザの同時流行に備え、発熱患者への診療・検査をどう対応するかについても調査した。かかりつけ患者の発熱に「対応しない」と答えた割合は6・5%、「診察をする」は46・3%、「診察・検査をする」は30・1%だった。

 一方で、新患については「対応しない」が22・8%、「診察をする」が35・7%、「診察・検査をする」が22・8%と、新患に対応しない医療機関の割合が高いことがわかった。

 同協会は「多くの医療機関が協力しやすい制度設計が望まれる」と訴え、医療機関へ向けた地方独自の補助や、医療従事者の感染リスクに対する補償の必要性を訴えた。(林将生)

受診控えによる主な症状悪化の例

・糖尿病患者の病態悪化(糖尿病性網膜症の進行など)

・高血圧患者が服薬せず、血圧上昇で来院

・緑内障の点眼薬が切れた状態で数カ月来院せず、体調不良で受診

・内視鏡検査を遅らせたため、がんが進行した状態で発見

・通所サービス中断のため、認知症が進行

・外耳炎が悪化し、外耳道閉鎖。鼓膜が見えなくなる症例も