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 高齢化が進み、慢性的に医師が不足している山口県上関町内で40年近く、診察を続ける内科医がいる。町内唯一の民間医療機関、松岡医院の松岡勝之さん(77)だ。町立診療所での診察も担い、地域の医療を支え続けている。21日には、長年にわたりへき地の医療を支えたとして、県から表彰を受けた。

 松岡さんは1歳のころに上関町に移り住み、中学まで町内で過ごした。関西の大学に進学後、大学病院に勤務したが、父が体調を崩したことから1983年に地元に戻り、医院を開業した。当時から医師が少なかったことから、90年からは町立診療所での診察も始めた。

 現在、町内に常駐する医師は松岡さんのほかに一人だけ。患者の多くは慢性疾患を抱える高齢者で、夜中に急変を知らせる連絡があり、家族の運転する車で診察に向かうことも少なくない。「地元に帰ってきたときからずっと医師は少なかった。町のお年寄りのために、っていう気持ちだった」と振り返る。

 上関町の高齢化率は全国平均を大きく上回る55・9%で、県内19市町の中でも最も高い。松岡さん自身も今年で喜寿を迎えたが、「80、90代のみなさんが元気で漁や農業をしていて、僕なんかほんの小僧。これからも診察を続けていきます」と笑顔で話した。(藤牧幸一)