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 歴史のある筏(いかだ)流しを再現し、地元の良さを伝えよう――。大津市北部の山間部にある葛川(かつらがわ)地区の葛川中学2年生3人が13日、地域を流れる安曇(あど)川で筏を作ってポスター用の撮影会をした。廃校の危機にある学校の魅力を発信し、新入生を集めようという取り組みだ。3年生となる来年は、琵琶湖を筏で進む計画を温めている。

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 「めっちゃ進むやん。先生。楽しいわ」。大津市の最北部、高島市との境に近い葛川細川町の安曇川。好天の下、筏に乗る3人の歓声が響いた。学校関係者らが見守る中、十数本の丸太を組み合わせた筏が川面を走った。

 3人は中田晄輔(おうすけ)さん(14)、椎葉裕也さん(13)、佐野仁盛(じんせい)さん(13)。葛川中の2年生はこの3人で全員だ。中学校から6キロほど離れた河岸に、澤村幸夫校長(55)や担任の松田義輝教諭(35)、カメラマンやボランティアら約15人が集まった。筏作りは、地元の滋賀南部森林組合職員、織田玲(れい)さん(43)が指導した。

 安曇川の筏流しの歴史は古く、大津市や高島市の資料によると、安曇川や琵琶湖の水運で奈良などに材木が運ばれていたが、戦後に途絶えた。3人のうち中田さんと椎葉さんは小学4年生の時に課外授業で筏流しの話を聞き、小5で森の間伐を体験した。「切った木を利用して筏を作れないか」という思いが芽生えた。

 児童24人の葛川小学校と生徒10人の葛川中学校は、子どもの減少で廃校の危機にある。2018年度、校区外からも通学出来る大津市初の小規模特認校になり、佐野さんが小6から通うようになった。

 学校を存続させるため、地域をPRして新入生を集める活動に力を入れており、ウェブサイトや道の駅などに貼るポスター作りに取り組んでいる。学校の周辺は山林と清流に囲まれて自然豊か。3人は、筏の写真がポスターにぴったりだと考えた。

 夏に木を切り、学校のプールに浮かべて実験。撮影スポットを探し、川幅や流れの速さ、建造物が写らないなどの条件が最も良い場所を決めた。

 撮影会の日、長さ約3メートルの杉とヒノキの丸太8本を並べ、縄でくくりつけて1時間ほどで筏に仕上げた。川面に流すと見事に浮かび、乗り込んだ3人はカメラに向かってポーズを決めた。撮影後、筏を強化するためさらに数本を加え、ロープで引っ張ってもらって川面を進んだ。

 しばらくすると、筏はやや沈んで表面に水がかぶってしまった。中田さんらは「もう少し浮くと思っていた」と出来具合に少し不満な様子。「時間をかけて木材を乾かせばもっと浮くはず」。これまで蓄えた知識で、次への課題を見いだした様子だった。

 来年は、安曇川河口の高島市から大津市堅田のあたりまで琵琶湖を航行する計画という。木材そのものを遠くまで運ぶのが筏流し。かつての作業をきちんと実体験したいと意気込む。

 撮影したポスターのPRの方法は、今後考えるという。澤村校長は「子ども自ら主体的にやることを応援したい」と話している。(奥平真也)

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