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 コロナ禍のもとでプロ野球ドラフト会議が26日に開催される。野球シーズンが始まる春先から夏にかけて、ほとんどのカテゴリーで試合ができなかった。選手は自分のプレーを見てもらう機会、スカウトする側は見る機会を失った。

 そこで日本高校野球連盟と日本野球機構が「プロ志望高校生合同練習会」を開くと、計118選手が参加した。東西2カ所で計4日間を終えた9月6日、12球団を代表して日本ハムの大渕隆スカウト部長が取材に応じ、「プロとアマで協力して高校3年生にチャンスを作れた。これからもできることがあれば、一緒にやっていきたい」と話した。

 選手を送り出した高校の指導者や、スタンドで視察した大学・社会人関係者からも、ほぼ歓迎するコメントが聞かれた。ただ、今のところ、来年以降も継続しようという動きは聞こえてこない。

 新型コロナウイルスはたくさんのものを奪う一方で、新たな気づきや、つながりを促してくれた。この合同練習会もその一つだ。平常なら、選手個人がアピールする場を高野連がプロ側と一緒に用意するなんて考えられなかった。

 それが実現した。「高校3年生のため」という視点に立てば、今後も続けることを考えるべきだ。「参加者を増やして春先にできれば、プロだけでなく、大学や社会人で野球を続けられる可能性を広げることになる」と地方大学の監督は言う。例えば全国10ブロックで開催すれば、選手も参加しやすくなる。

 野球人口が減少している。ヨコに増やすだけでなく、タテに伸ばすことも考えていきたい。1人の選手に、長く野球を続けてもらう。野球界はこれまで、チームや指導者の努力と競争で、選手の進路を切り開いてきた面がある。素晴らしいことだが、チーム環境によって選手の将来が絞られてしまう危険性もある。

 野球界全体でトライアウトの機会を作れれば、各チームや関係者の努力だけでは見つけてもらえない才能が救われるかもしれない。

 今年のドラフトでは独立リーグで4年間も頑張った投手や、大学の準硬式野球部でプレーを続けた投手も指名候補として名前があがる。これからは、埋もれた才能を野球界全体で見つけ、育てていく。

 コロナ禍だから踏み出せた第一歩を、未来につなげていきたい。(編集委員・安藤嘉浩)