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 仕事による強い心理的負荷(ストレス)が原因で精神障害になったとして労災認定を請求する件数は増え続け、2019年度は2千件を超えました。一方で、労働基準監督署が労災と認めるか否かの決定をした件数に占める支給決定件数の割合(認定率)は約30%です。労働基準監督署の調査が不十分であったり、企業側が調査に協力的でなかったりすることもあります。労災と認められない場合、審査請求、再審査請求、さらには訴訟という手段もありますが、当事者にとっては大きな負担です。連載「患者を生きる」の「精神障害と労災」で紹介した、大手メーカーに勤務していた男性のケースを見ても、それがわかります。

 男性は上司から叱責(しっせき)を受けていることを妻に告白して間もない10年1月、40歳で自殺しました。会社でのトラブルや仕事上の悩みが夫を追い詰めたのではないかと考えた妻は、男性の死後、インターネットで調べた名古屋の水野幹男弁護士(80)の事務所を訪ね、代理人を依頼しました。水野弁護士は愛知県内の大企業の社員の過労自殺訴訟を担当した経験がありました。労災請求の手続きについて何も知らなかった妻は、水野弁護士の勧めで男性が自殺するまでにあった出来事を記憶している限り書き出し、陳述書を作ります。

 会社への損害賠償請求訴訟も起こす可能性を考えると、男性の勤務実態を知る手がかりとなる社内文書を押さえる必要があると考えた水野弁護士ら弁護団は10年11月、まず名古屋地裁岡崎支部に証拠保全を申し立てます。申立書には、妻の陳述書のほか、自殺の約1カ月前に受診したメンタルクリニックの診療録、男性が残したノートなどが証拠として添付されました。

 男性は自殺する前年の09年9…

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