拡大する写真・図版ラガーマンが参加する「#もっと優しい筋肉」の紹介ページ

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 難病と闘う子とその家族が旅行できるようにするため、プロや大学のラグビー選手たちが支援のスクラムを組んでいる。「再起不能」の病を克服したトップリーグ選手も加わり、「#もっと優しい筋肉」と名付けたクラウドファンディング(CF)で支援の輪を広げている。

 1月12日、花園ラグビー場(大阪府東大阪市)であったトップリーグ開幕戦。「18トリソミー」という染色体異常のある大阪市都島区の米田ももさん(10)と家族3人が、車いす席から応援していた。プレーする三菱重工相模原ダイナボアーズ(本拠・相模原市)の選手たちに「ありがとう」と伝えるためだ。

拡大する写真・図版ラグビーの応援タオルを持つ米田ももさん(右)と母の和美さん=2020年9月16日午後3時46分、大阪市都島区、石平道典撮影

 18トリソミーは心臓や脳などに重い障害を伴うことが多く、1歳まで生きられる割合は10~30%といわれる。ももさんは心臓手術を乗り越えたが、意思疎通が難しく、酸素吸入が欠かせない。母の和美さん(43)は「完全介護が必要で、旅行は難しいと思っていた」。

CFは11月20日まで募っています。詳細は、朝日新聞社のCF「A-port」(エーポート)内のサイト(https://a-port.asahi.com/projects/gentlemuscle2020/)へ。

 だが昨年夏、家族は東京ディズニーランドなど首都圏への4泊5日の旅を楽しんだ。難病児と家族を旅行に招待する公益社団法人「ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYO」(東京都)が、ももさん一家の旅費などを支援したのだ。

拡大する写真・図版支援を受けて旅行を楽しんだ米田ももさん(中央)と家族=家族提供

 トップリーグのダイナボアーズは同法人に賛同し、2017年から公式戦やイベントで募金活動をしており、その資金が一家の夢をかなえた。和美さんは「旅行ができて前向きになれた。ほかの難病児のためにも、支援の輪が広がってほしい」。花園ラグビー場では、ももさんは興奮した様子で喜び、選手へのお礼に自分の手形を贈った。

 家族からの手紙を読んだ主将の土佐誠選手(34)は「病気を克服した自分だからこそ、難病の子を元気づけられるかもしれない」と話す。8年前に突然、てんかんの発作に襲われた。引退もよぎったが、開頭手術を受け復帰した。「主治医から再起不能と言われた僕でも、トップレベルでプレーができる。勇気や刺激を与えたい」。病と闘う人が普通に活躍できる社会を願い、難病児支援に人一倍力を入れている。

拡大する写真・図版米田ももさんの手形と「ありがとう」とかかれた絵を持つ三菱重工相模原ダイナボアーズの土佐誠選手=2020年9月28日午後6時33分、相模原市、石平道典撮影

 ダイナボアーズは昨年、同法人が企画したCFに協力し、約170万円を集めた。第2弾として8月末から募集中の「#もっと優しい筋肉」では8チームが参加。トップリーグのキヤノンイーグルス、リコーブラックラムズのほか、九州電力キューデンヴォルテクス、近鉄ライナーズ、中国電力レッドレグリオンズ、慶応大と早稲田大のラグビー部も加わり、計497人のラガーマンが名を連ねる。

 CFでは来春に予定する旅行の費用を集めている。目標額は400万円。返礼品として、選手のサイン入りユニホームやラグビーボールなどを贈る。

 新型コロナウイルスの影響でトップリーグの試合は中止され、来季に持ち越された。難病児にはウイルスが脅威となり、旅行の支援事業は現在中断している。それでも、土佐選手は「難病児の夢の旅行ができるよう、試合が再開したら全力でプレーしたい」と意気込む。

 CFは11月20日まで募っている。詳細は、朝日新聞社のCF「A-port」(エーポート)内のサイト(https://a-port.asahi.com/projects/gentlemuscle2020/別ウインドウで開きます)へ。(石平道典)