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 家や車に子どもを置き去りにするなど、育児放棄で幼い命が失われる事件が続いています。長年にわたり親子関係を研究しながら、カウンセラーとして相談を受けてきた高石恭子・甲南大教授(臨床心理学)は、子育て中の女性を追い詰める日本社会特有の意識が根底にある、と指摘します。

拡大する写真・図版「親自身がSOSを出そう」などと呼びかける虐待防止のイラスト=厚生労働省のウェブサイトから

なぜ助けを求めないのか

 ――事件の報道に接したとき、「誰かに助けを求められなかったのだろうか」と考える人が多いのでは、と思います

 「いいお母さんでなければならない、いいお母さんをしていると思わせたい、という気持ちが、『子育てがつらい』と声を上げにくくしているのでは、と思います。子どもはかわいいもの、子育ては楽しいものというイメージや、母性本能があるから子どもを愛せるはずだという神話に、母親自身も含め、いまだ多くの人がとらわれています。そして、私のこれまでの経験からも、そう信じているほど、子育てをつらいと感じる母親が多いように思います」

 「私自身は1990年代に娘を2人生み、いろいろな人の手を借りて育てながら仕事をしてきました。出産後、もちろん喜びはありましたが、『母という幸せ』が絶対の価値であるかのように言われた時の違和感は今もよく覚えています。初めての育児の戸惑い、それまでの生活と一変してしまった喪失感を抱えながら、負の感情を表現することが許されない。そんな苦しさ、子育てを楽しめない自分は母親失格なのだという罪悪感は、今の女性もそう変わらないのではないでしょうか。母親自身と社会の両方が、無意識の『理想の母親像』を問い直すことが必要です」

 ――過去の事件の教訓も踏まえ、子育て支援の制度やサービスが整えられています

 「かなり充実してきました。た…

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