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 都民の都内旅行に、都が1泊5千円を独自に補助する事業(略称「もっとTokyo」)が23日、始まった。都内のホテルは独自の都民向けプランで、落ち込んだ宿泊客の回復を図るが、予約をめぐる混乱も起きた。

 3人の女子旅が実質0円――。東京都千代田区のホテルニューオータニでは、都内在住の女性向けにそんなプランを用意した。通常なら1室3人で約3万円だが、国の観光支援策「Go To トラベル」も併用すると、支払額は3人で計5千円に。さらに国の「Go To」で、館内でも使える地域共通クーポンが5千円分還元されるため「実質0円」というわけだ。

 ホテルの女性限定会員組織への登録が条件だが、プランの発表後、登録者数は急増。予約受け付け開始の23日午後2時前後は、ホームページ(HP)にアクセスが集中する人気ぶりで、数時間で完売した。広報担当者は、「予想以上に反響が大きかった」と語る。

 同区の帝国ホテル東京などでも都民限定プランは即日完売した。

 インバウンド(訪日外国人)向けのホテルも都民の利用増に期待を寄せる。

 同区のサクラホテル神保町では、朝昼晩の3食とビールの2時間飲み放題が付いて、850円になる都民向けプランを売り出した。元々は9千円だが、国と都の仕組みを併用すれば、千円札1枚でおつりが来る値段になる。コロナ禍で現在、稼働率は1割程度に落ち込んでいる。

 ホテルスタッフの立花麻衣さんは「仕事帰りに立ち寄ったりテレワークで滞在して頂いたりと、都内のお客様に少しでも利用して頂きたい」と語る。

 旅行業界最大手のJTBによると、国の「Go To」からの東京除外が解除されて以降、都内の旅行需要は増えている。担当者は「近場の豪華なホテルで、非日常を過ごしたいという声は多い。都の旅行補助の併用で、日帰りも含め、用途や年齢層の幅は広がるのではないか」と話す。

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 都の旅行補助は、今月上旬に開始日が発表されたばかり。準備や告知に十分な時間がとれず、事業者にも都民にも混乱が起きた。

 「え、完売ってどういうこと?」。千代田区の会社員女性(39)は、パレスホテル東京のHPを見て驚いた。「もっとTokyo」は午後2時にスタートするため、その30分ほど前にホテルに都民向けプランについて問い合わせたが、「申請しているが、都の承認がまだです」との返答。そこで、時間を置いて午後4時前にHPを確認すると、既に完売していた。

 ホテルなどが都の補助事業に参加するには、個別に登録が必要だ。パレスホテルによると、都からの登録承認の連絡は郵送で届き、ホテル側が確認したのは「もっとTokyo」のスタート時間だった午後2時の直前だったという。担当者は「承認まで周知できなかったが、承認されたかギリギリまで分からなかった。特定の時間に運良くアクセスした人だけが予約できる結果になってしまい、心苦しい」と話した。女性は「予約済みだったが都民割もあると聞いて、予約し直そうと思っていた。何だか損した気分」。

 足立区の自営業の男性(38)は15日、「ホテル ヴィラフォンテーヌグランド 東京有明」(江東区)の25日の宿泊を予約した。その日は妻の誕生日。テレビなどで都の補助があると知り、対象になると思ったが、届いた明細を見ると、適用されているのは国の補助のみだった。

 都の補助は23日予約分からしか適用されないことを後に知った。「きちんと調べなかった自分も悪いが、都の周知も不十分だったのでは。悔しいので、今度は小笠原旅行でリベンジしたい」(伊藤恵里奈、川口敦子)

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