[PR]

 北海道内で新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。23日に確認された新たな感染者は51人で、緊急事態宣言下だった4月23日の45人を上回り過去最多となった。道はマスク着用などの感染防止策の徹底を呼びかけ、札幌市はクラスター(感染者集団)が多発している繁華街・ススキノ地区での啓発活動も強化する。ただ、鈴木直道知事は現時点で営業自粛要請などはしない方針だ。(芳垣文子、松尾一郎、武田啓亮)

 最大都市・札幌ではクラスターの発生が続いている。札幌市では過去最多となる38人(居住地非公表の10人を含む)の新規感染者と、新たに三つのクラスターが確認された。

 クラスターが発生したのはグループホームとホストクラブなど。グループホームでは80~90代の入居者3人、50~60代の従業員2人の計5人が感染。ススキノのホストクラブでは20代の従業員5人、メンズパブで20~30代の従業員と利用客計6人の感染がわかった。メンズパブでは、従業員と利用客のマスク着用が徹底されていなかったという。

 釧路総合振興局管内では6人が新たに感染。うち1人はクラスターが発生した釧路市の特別養護老人ホームに関連している。旭川市で確認された10代女性は札幌市がこの日公表した感染者の濃厚接触者だった。

 最近の感染傾向は、ススキノ地区の接待を伴う飲食店の従業員や客、若い世代が中心で、多くが軽症か無症状だった。その傾向が大きく変わったわけではないが、札幌市の担当者は「行動範囲が広い若い世代の感染者から、家庭などで高齢者層に感染が広がるケースが出てきている」と指摘する。

 道保健福祉部の広島孝技監は「10月に入り、発症者が30人を超える日が複数日確認され、集団感染事例は札幌近郊だけではなく、地方にも相次いでいる」とし、警戒感を示す。

     ◇

 感染拡大を受け、道などはマスクの着用や、換気が悪い場所、人と人との距離が近い「密」な空間に長時間滞在しないなどの感染防止策の徹底を改めて呼びかけた。

 札幌市の秋元克広市長は23日の定例会見で、「現時点では病床が逼迫(ひっぱく)している状況ではないが、より注意が必要」と述べ、検査・相談体制を強化する方針を表明。現在1カ所の市内のPCR検査センターの時間延長や、2カ所目のセンター設置を目指す。「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」を設置し、26日に初会合を開く。

 また、ススキノでの感染拡大に歯止めがかからないため、同地区では「ススキノで働く皆さまへ」と題した感染防止を呼びかけるチラシを配布するほか、大型ビジョンを利用した啓発活動も行う。

 札幌医科大の横田伸一教授(微生物学)は「ウイルスが『夜の街』だけでなく、家庭や職場、学校などに広がっている。札幌以外でもクラスターが発生しているのが心配だ。以前のように、社会活動を停止せざるをえなくなるかどうかの瀬戸際だ」と見る。

 道内ではまだ患者の早期発見ができているが、感染経路が不明な患者の割合が増えているのは不安材料だという。横田教授が最も心配するのが、クラスターから家庭や職場に持ち込まれたウイルスが、別の場所で新たなクラスターを生む「クラスターの連鎖」だ。一気に感染が拡大する危険性があり、「高齢者施設や病院など、重症化しやすい人がいる施設でクラスターが多発する事態は避けないといけない」と語る。

 鈴木知事は23日の定例会見で、道の警戒ステージについて「本日直ちに上げるということではない」とし、現時点では経済活動の制限につながる営業自粛要請は行わないとした。ただ、国の「Go To」キャンペーンが本格化し、旅行や飲食店、繁華街の人出は今後活発化するのは確実だ。道内各地や道内外の人の往来が増える中、感染防止策をどう徹底させるかは今後も大きな課題となる。

関連ニュース